「銃」 著 中村文則
「銃」 著 中村文則 中村文則さんのデビュー作ですね。ザ・純文学という感じの作品です。 銃を拾った男が変わっていく様、もしくは元々あった自分の黒い部分に染まっていく様を描いているのですが、その心的描写が濃厚で迫ってきます。 物語としては、施設に育ち養父母に育てられたものの、それなりに普通に成長してきた大学生が銃を拾うことで始まります。 そして、主人公が銃に魅せられ、銃によって支配されていくという […]
「銃」 著 中村文則 中村文則さんのデビュー作ですね。ザ・純文学という感じの作品です。 銃を拾った男が変わっていく様、もしくは元々あった自分の黒い部分に染まっていく様を描いているのですが、その心的描写が濃厚で迫ってきます。 物語としては、施設に育ち養父母に育てられたものの、それなりに普通に成長してきた大学生が銃を拾うことで始まります。 そして、主人公が銃に魅せられ、銃によって支配されていくという […]
「知能低下の人類史 忍び寄る現代文明クライシス」 著 エドワード・ダットン、マイケル・A・ウドリー・メニー やや話が飛躍しすぎな印象もありましたが、なるほどと納得させられる部分も多く、興味深い話でした。 ようするに産業革命以降、人類の知能が低下し続けているという話を科学的根拠を踏まえて証明しているのですが、これがなかなか説得力があります。 簡単に説明すると、まず大前提の話として、産業革命以前まで […]
「中国史とつなげて学ぶ全日本史」 著 岡本隆司 これは非常にためになる本でした。 東洋史の先生によって書かれた著作なんですけれど、東洋史の概念から日本と中国の関係をクローズアップして考えています。 そもそも東洋史そのものが中国との関わりの歴史を学ぶ学問なのですが、確かに日本中心の歴史や西洋中心の世界史よりも、日本と中国の関係を考える上では、東洋史の概念に沿って考えた方が、ずっと正確にその関係性を […]
「消滅世界」 著 村田沙耶香 「コンビニ人間」で芥川賞を獲った村田沙耶香さんの作品ですね。 正直、評価するのがとても難しい独特な作品だと思いました。 まず一言でいえば、ジャンルが分からない。 一見、SFのように見えるのですけれど、書いてある内容や文体は純文学のそれであって、読み手を良くも悪くも戸惑わせます。 まあ、こうした境界線のなさが著者の個性であるといえば、その通りで、そういう意味では、この著 […]
「掏摸」の姉妹編ですね。 「掏摸」で絶対悪として登場した木崎に対して、作者がどう決着をつけるのかが気になって読んでみました。 一読して感じたのは、「掏摸」で感じた悪に対する作者の嫌悪感が、悪に対してだけでなく、悪をシステムとして組み込むことを止めない社会そのものに対してのものなんだということがハッキリとわかったということ。 読む前に、勝手にこの作品は絶対悪である木崎の綻びを見つけ出し、そこに希望が […]
「掏摸」 著 中村文則 押し潰されるような、どうしょうもなく暗い、暗い世界。 スリと彼が巻き込まれる裏社会の深部の一端を描いたこの作品は、現実の暗部を文学に昇華させて描くことを特徴とする中村文則さんらしさがよく出ている作品だと思います。 重厚な文章でありながらも、どんどんと読者を物語に引き込むのは、中村さんの力量にほかなりませんね。 そして、芥川賞を獲った「土の中の子供」あたりのころは、世の中の不 […]
「ぽんちうた」 著 死後くん イラストレーターとして人気の死後くんの絵本です。 いわゆるわらべうたを死後くん独特のワードセンスで書き換え、これもまた死後くん独特の絵で唄の様子を描いています。 子供に媚びすぎることなく子どもが楽しめる作品で、大人もおもわずクスッと笑ってしまう場面も多いです。 勝手に節をつけて勝手に歌ってくださいという、子どもの創造力を掻き立てることを前提に絵本を一冊の絵本を作り上 […]
「宮崎駿論 神々と子どもたちの物語」 著 杉田俊介 アニメーション界の巨人、宮﨑駿さんを論じた本ですね。 哲学的、思想的知識が豊富であり、介護職をしているという実践的な経験を持つ著者のアプローチはなかなか独特で、読んでいて「なるほど」と思わせる論述がたくさんありました。 個人的には、宮﨑駿さんが被害者意識と加害者意識の狭間の苦しみの中で物語を作っているという話は面白かったですね。 被害者意識とい […]
「図説 科学史入門」 著 橋本毅彦 科学の発達を当時使われた絵画や図像などを用いて歴史的に見ていくという本です。 文系の人で、理系のことを教養として広く学びたい人にとってはこれほどありがたい本はないですね。 難しい話もそれにアプローチした様々な人のナラティブによって語られるので、歴史的に何がどうわかっていったのかがわかりやすくてついつい引き込まれてしまいます。 一部の宗教や民族主義などに偏ることも […]
ルポ川崎 著 磯部涼 大都市である東京と横浜の間にある川崎の実態についてルポタージュされた本です。 一口に川崎といっても北部と南部ではその様相はかなり異なっており、特に南部の川崎駅周辺から大師線に沿った工業地帯である川崎区には独特な雰囲気があります。 それはひと言でいえば他者にとっての「怖い」イメージなのですが、このルポを読んでいると、確かに未だにヤクザが蔓延り、また貧民窟でもある川崎区には、犯 […]