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厳選映画批評

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」

新劇場版の第一作ですね。 序と銘打ってあるように碇シンジが登場するところから始まり、ヤシマ作戦の終わりまでが描かれていますが、概ねここまではテレビ版とほぼ同じ流れですね。 テレビ版も最初の頃はそこまで時間に追われずに作られているのがわかるので完成度がそもそも高く、新劇場版になってもそこまで変える必要がなかったということでしょう。 久しぶりに今回序を観直してみたのですが、自分が少し歳をとったからなの […]

「シェイプ・オブ・ウォーター」

2018年/アメリカ ギレルモ・デル・トロ監督らしいダークファンタジーの世界観を構築しながらも、しっかりとテーマを描いている作品ですね。 ヴェネツィア映画祭で金獅子賞獲ったことを皮切りに、ゴールデングローブ賞、アカデミー賞と総なめにしたのも肯けます。 テーマは題名が示しています。 シェイプ・オブ・ウォーター。つまり水の形という意味ですね。 人の気持ち、人と人との関係、人と生物との関係は、水の肩のよ […]

「鬼滅の刃 無限列車編」

日本興行収入歴代1位に輝いた作品ですね。 ここまで爆発的に売れた理由として、人気漫画からの原作というだけではなく、作品そのものに人を惹きつける力があったことは間違いないでしょう。 この映画のすごいところはまず原作モノであり、テレビ放映をされた途中のエピソードでありながら、原作やそれまでのストーリーを観ていない人までも巻き込んでいるところです。 おそらく映画を作っている側としては当初、テレビ放映を観 […]

「フレンチアルプスで起きたこと」

「フレンチアルプスで起きたこと」 2014年/スウェーデン 一言で言って色々な意味で人の気持ちをざわつかせる映画でした。 物語の舞台はフランスのスキーリゾート。 そこに休暇で訪れたスウェーデン人の一家がレストランで昼食中に雪崩に巻き込まれたことから話が動き出します。 雪崩そのものの被害はなかったのですが、問題は父親が携帯電話を持って妻と小さな子ども二人を顧みずにとっさに一人で逃げ出してしまったこと […]

「アーヤと魔女」

2020年/日本 久しぶりにジブリの作品がお目見えしましたね。監督は「コクリコ坂から」「山賊の娘 ローニャ」の宮﨑吾朗さん。企画は巨匠の宮﨑駿監督。 そして原作は、「ハウルの動く城」のダイアナ・ウィン・ジョーンズですね。まさに名前だけ聞くとジブリ感たっぷりです。 物語は、魔女の娘であるアーヤが孤児院で育つところから始まり、奇妙な家に引き取られることで展開を見せます。 まあ、ようするに虐待の話なんで […]

「グレムリン」

「グレムリン」 1984年/アメリカ アメリカの80年代を代表するSF映画の一つですね。 グレムリンとは、元々はニ十世紀初頭にイギリスの空軍パイロットの間で生まれた噂から広まった機械に悪戯をする妖精とされ、ノームやゴブリンの遠い親戚にあたる生き物とされている架空の生物です。機械やコンピューターが異常現象見舞われた時にグレムリン効果といわれているそうですね。 そのグレムリンという架空の生き物を、映画 […]

「天気の子」

「天気の子」 2019/日本 「君の名は。」に続いて新海誠監督と川村元気プロデューサーがタッグを組んだ作品ですね。 光を描くことにこだわりを見せている新海監督が、天気をテーマにするのだからその映像美は目を見張るほど美しいです。映像を観るだけでも単純に楽しめる作品だと思います。また東京に住んでいるわたしにとっては、東京のリアルな街並みがそのまま再現されているのはとても面白かったです。大きな町だけでは […]

「君の名は。」

「君の名は。」 2016/日本 とてもグイグイと見せてくれる映画でした。アイデア勝ちの映画ですね。 男の子と女の子の心が入れ替わるというのは良くある話です。この映画はそれに加えてまず男の子と女の子の間に物理的な距離と時間軸のズレを咥えることによって、話をより切ないストーリに紡ぎあげています。 それにしても男と女のズレ、心だけじゃなく、そこに距離や時間を加えて表現するのは新海誠監督の真骨頂ですね。 […]

「大人は判ってくれない」 

「大人は判ってくれない」 1960/フランス ゴダールと並び立つヌーヴェルヴァーグの巨匠フランソワ・トリュフォーの初の長編映画です。ヌーヴェルヴァーグのキッカケであり、この映画が評価されたからこそ、ヌーヴェルヴァーグの潮流が生まれたんですね。 話としては、トリュフォー自身の経験が下地になっています。大人の都合で振り回される子ども。大人は決して子どもの話を聞こうとせずに、力で子どもを従わせることばか […]

「万引き家族」

「万引き家族」 2018年/日本 いやあ、とてもよかったです。そしてとても考えさせられる映画でした。 もともと是枝裕和監督の映画は大好きなのですが、期待に裏切らない素晴らしい映画です。 ドキュメンタリー出身の監督らしく、社会のリアルをうまくドラマに仕立て上げていると思います。 確かに万引きした家族があり、その家族は実は、、、という設定はありえないようにも見えますが、実際にその一人一人の家族の裏にあ […]