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文化

「あなたの人生の物語」 著 テッド・チャン

「あなたの人生の物語」  著 テッド・チャン 中短編の名手と謳われるテッド・チャンさんの短編集ですね。 寡作ではあるものの、そのすべての作品においてレベルが高く、ほとんどの作品がネビュラ賞やヒューゴー賞の受賞もしくは候補作となっているだけあって、確かにハズレが一つもないです。 典型的な理系の人の文章なので、人によっては読みにくさを感じる人がいるかもしれませんが、その分充分な科学的知識に基づいて話が […]

「世界にひとつのプレイブック」

「世界にひとつのプレイブック」 2013年/アメリカ なかなか考えさせる映画でした。 妻の浮気を目撃し、浮気相手をボコボコにして精神病院に入れられていたパットが退院して家に戻ることから話は始まります。 接近禁止命令が裁判所から出ているにもかかわらず、妻であるニッキとの復縁を信じてやまず、問題行動を起こすパットを見て、映画を観た人の多くはおそらくウンザリすると思います。 大多数が、もしもこんな人が家 […]

「闘将!!拉麵男」 著 ゆでたまご

「闘将!!拉麵男」 著 ゆでたまご 80年代に一斉を風靡した「キン肉マン」の絶頂期に描かれたスピンオフ作品ですね。 「キン肉マン」に出てくる人気超人、ラーメンマンの若かりし頃の活躍を描いた作品です。 「キン肉マン」が集英社の総本山である少年ジャンプで毎週連載されていたのに対し、本作はフレッシュジャンプという月刊紙で掲載されていました。 子どもの頃、この作品読みたさにフレッシュジャンプを買っていた記 […]

「AI監獄ウイグル」 著 ジェフリー・ケイン

「AI監獄ウイグル」 著 ジェフリー・ケイン 新疆ウイグル自治区が中国によってAI監視され、何万にもの人々が強制収容所に入れられたり、強制労働をされているというのは、もはや国際的に周知の事実となっていますが、この本はなぜこのようなことになってしまったのか、どういうプロセスでそうなったのかを何百人もの証言を元に詳細に追った本です。 おおよその話はニュースなどで知っていましたが、こうして詳しい話を読む […]

「タッチ」 著 あだち充

「タッチ」 著 あだち充 80年代を代表する名作漫画ですね。 あだち充さんの漫画にはハズレがありませんが、その中でもダントツに面白く、売れたのがこの作品です。 同年代に生きた人は、誰もが「タッチ」という名前だけでなく「上杉達也」や「浅倉南」といった名前を聞いたことがあるかと思います。 さて、そんなあまりに有名な本作ですが、残念ながら多少誤解して記憶している人が多いようです。 多くの人がこの物語に典 […]

「銃」 著 中村文則

「銃」  著 中村文則 中村文則さんのデビュー作ですね。ザ・純文学という感じの作品です。 銃を拾った男が変わっていく様、もしくは元々あった自分の黒い部分に染まっていく様を描いているのですが、その心的描写が濃厚で迫ってきます。 物語としては、施設に育ち養父母に育てられたものの、それなりに普通に成長してきた大学生が銃を拾うことで始まります。 そして、主人公が銃に魅せられ、銃によって支配されていくという […]

「知能低下の人類史 忍び寄る現代文明クライシス」 著 エドワード・ダットン、マイケル・A・ウドリー・メニー

「知能低下の人類史 忍び寄る現代文明クライシス」  著 エドワード・ダットン、マイケル・A・ウドリー・メニー やや話が飛躍しすぎな印象もありましたが、なるほどと納得させられる部分も多く、興味深い話でした。 ようするに産業革命以降、人類の知能が低下し続けているという話を科学的根拠を踏まえて証明しているのですが、これがなかなか説得力があります。 簡単に説明すると、まず大前提の話として、産業革命以前まで […]

「ローマの休日」

「ローマの休日」 1953/アメリカ 今も語られる機会の多い古典であり、オードリー・ヘプバーンの名を世界に知らせしめた作品ですね。 物語は不自由な公務に嫌気が差したヘプバーン演じるアン王女がグレゴリーペック演じるアメリカ人記者ジョーと出会い恋に落ちるという話です。 話の味噌となるのは、このジョーという人物がそもそも記者として特ダネ欲しさにアン王女に付き纏ったという点。 つまり、ジョーにはそもそも王 […]

「ブレットウィナー」

「ブレットウィナー」 2017/カナダ、アイルランド、ルクセンブルク アカデミー賞長編アニメ賞でノミネートされた作品ですね。 舞台は2001年のタリバン政権下にあったアフガニスタンです。 原理主義の名の下に女性に権利がほとんどなく、女性は教育を受けられないどころか、家にいることしか許されていません。 実際物語は、主人公である少女パヴァーナに本を読ませた罪で父親が逮捕拘束されたところから始まります。 […]

「カムカムエヴリバディ」安子編を見て、安子に対して批判している人に考えてほしいこと

いやあ、怒涛の展開の中で終わってしまいましたね。 「カムカムエブリバディ」安子編。 3人の女性のリレーによる朝ドラですが、一人目から色々と物議を醸しだしています。 端的に言うと、結果的に娘であるルイを棄てる形でアメリカ人と一緒になり、アメリカに行くことを選んだ安子に対して、批判的な視点で見ている人が多いのですが、何だかそれらのコメントをみているうちに、「ああ、やっぱり日本人の意識はまだまだ家制度に […]