格差社会の本質は、業界格差にあり

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1904/09/news050.html

現在の人手不足の状況は、人手不足ではなく、低賃金労働者不足だとする記事ですが、概ね記事が言っていることは正しいと思います。
まあ、記事の通りどちらか、というわけではなく、もちろん実際に人口が減ることによる人手不足という側面もあるとは思うのですが、やはりこれまで労働者の賃金を低く抑えることでどうにかやっていたビジネスモデルに限界が来て、そのツケが今また回ってきているということでしょう。

問題は、明らかに業種ごとと大手と中小との間に賃金が違い過ぎる点にあります。
今現在、運送、建築、介護、医療、飲食、製造等のいわゆる人手不足の業界は、すべて低賃金労働がはびこっている業界です。
一方で、金融業界やIT業界などお金のある業界で人が少ないとっても、それは何でも出来るような優秀な人や技術に詳しい技術屋が少ないという形であり、とにかく人がいないという上記の業界とはまったく次元の違う話です。

時代が流れていく上で、勢いがある業界や廃れていく業界があるというのは仕方がないことだとは思いますが、ただ金融機関や投資機関にとにかくお金が集まってしまうというのはあくまで人為的な話でもあるので、やはり格差があり過ぎるのは問題があるのかなとは思います。

まあ、そうなってくると、この問題は日本だけの問題ではなく、世界規模でこれからの世の中をどう形作っていくのかという話になってしまいますし、そもそもがウォールストリートの責任だという話になってしまうのですが、どうしても他人の資産を運用して年収が軽く一千万を超える人と、例えば介護施設などで頑張って何人もの老人の世話をキリモミしている年収三百万程度の人とで、そんなにも賃金格差が出てしまうのは何か違うなと思ってしまうのです。
金融機関に勤めてる人が悪い、もしくは介護施設に働いている人と比べて社会的価値がないと言いたいわけではありません。ただあまりにもその賃金に差があり過ぎるのではないかと思うんですよね。

こういう話をすると、必ず「だったら、金融機関に勤めればいいじゃん」などと元も子もないことを言う人がいます。
ただそうやって人をいかに出し抜くか、そして勝ち負けだけで物事を考えるのではなく、やはり仕事を決める、仕事をする中で、わたしたちは社会の上に立って生きているということを忘れてはいけないと思います。
極論ですが、では優秀な人がみんながみんな、高収入を求めて、金融機関や投資機関ばかりに就職したら社会はどうなるでしょう?
実際、ハーバード大の卒業者の進路のうち、この十数年で金融機関に流れてしまっているパーセンテージが一気に上がっているそうですが、もしもその優秀な人たちが、ほかの業界に入り、画期的な研究をしてくれたら、世界がどれだけ変わっていったのかわかりません。
金融は投資というのは、あくまで事業に対してその力を貸すための補助的なシステムであるにもかかわらず、金融や投資をする人が社会の中心になってしまっている今の現状というのは、正直ちょっと怖い気がします。
それは、完全に実体のないお金に人の生活が縛られていることを意味しているわけですからね。

何をどうすればこの業界格差が少しでも解消されるのかはわかりません。
ただ大事なのは、今のこの現状を、誰がこの社会を支配してしまっているのか、その現状をまずは一人一人がよく知ることだと思います。