サンドウィッチマンから学ぶこと

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お笑いコンビサンドウィッチんマンが中心となって募った東日本大震災への義援金が4億2000万円にものぼり、東北各県に贈られているようです。これは、本当にすごいことで、素晴らしいことですね。

いまや好感度ナンバー1芸人となった二人ですが、これまで好感度の高いタレントと明らかに違うのは、アンチがほとんどいないこと。確かに、サンドウィッチマンを嫌いだという人には出会ったことはありません。
これって、地味にすごいことなんですよね。だって、普通誰もがそうなりたいと思っても出来ないことであり、しかも彼らの場合、それをずっと継続している訳なのですから。

なぜ、彼らは好感度が高く、また嫌われもしないのか。一つの答えとしては、単純に二人とも「いい人」だからでしょう。
誰に対しても平等に気配りを出来る人たちであり、誠実であって優しい人たちであるのです。
もちろん、彼らにより親しい人たちからは違う意見も出てくるのかもしれませんが、少なくとも報道されている限りのどのエピソードを見ても、そういった人柄としか想像することが出来ません。
ただ、単純に「いい人」であるのなら、芸人としては「つまらない」と思われかねず、命取りになります。
しかしそこでも彼らは、しっかりと笑いを獲れる優れた芸人であり、その実力はビートたけしがべた褒めするほどです。

ただの「いい人」じゃない、それ以上の何かがこの二人にあることは間違いありません。
でも、そのことが何であるかは、実際に本人たちにしかわからない話です。
しかしわたしは、この東日本大震災における義援金活動から、彼らが実のところどういう人たちであるのかをある程度は推測することは出来るんじゃないかと思います。

震災当時、二人は気仙沼にいて、津波から逃れて山に避難をしたという経験があります。そしてそもそも二人とも宮城の出身ですから、自然と東北を支援するようになるのは当たり前の話です。
でも、その当たり前の話を、彼らはなりふり構わず、そしてそれを見せつけることなく、当たり前のこととして自然とすることが出来た。
わたしは、そこにこそ、彼らが好かれる理由が垣間見られるように思うのです。
震災当初、支援を行った有名人は報道されただけでもたくさんいます。そのどれもが尊い行いだと思いますが、その中でも彼らが図抜けているのが、八年経った今も精力的に活動を続けており、実際に4億2000万ものお金を集めているという点です。
そして、この持続的にこういった活動を続け、しかも結果を出し続けられるという事実こそが、何気にすごいことなのです。まずこれだけの規模で義援金を集めるのですから、二人だけでは出来ず、それ相応のボランティアスタッフが必要となります。それを八年もの間継続していくためには、ただサンドウィッチマンが先頭に立っているだけではダメで、彼ら自身がスタッフたちと固い信頼関係を結び、目に見えない部分でフォローしていかなければいけません。
芸人として、忙しい毎日を過ごす中で、これをやってのけるのは並大抵では出来ません。しかも、すごいのが彼らは決してそれに対して何かを言う訳でもなく、淡々と当然のようにやっているのです。

彼らもさすがに義援金を募るという活動は、色がついてしまい、芸人としての幅を狭めてしまうのではないかと悩んだことはあったそうです。
でも、自分たちの損得よりも、自分たちの素直な良心に従った。それも、誰かに見せつけるようなあざとさもなく。
個人的には、そういう人としての気持ちよさが、彼らが好かれる一番の理由なのではないかと思います。
たぶん、それは震災前から、その物腰に滲み出ていたもので、また笑いに対する態度にも、そういった哲学があるのではないかと思います。

つまりは、自分たちの「笑い」に対しても、「良心」に対しても、また自分たちを育んてくれた「人たち」に対しても、そして「自分たち自身」に対しても、常に真摯なんですよね。だから、謙虚さが嫌味にならず、それが人柄として人の目に映るのです。

彼らのこういったスタンスは、学ぶべき点は多くあると思います。
それは、個人だけでなく、企業も、それも名だたる大企業であってもです。

試しにサンドウィッチマンを一つの会社として置き換えてみてください。それがどれだけ優良な企業であり、また人々に愛される企業であるかはわかりますよね。