「コーポレート・ガバナンス」とは、「企業統治」という意味で、企業の価値を高めたり、企業の掲げる理念を実現するために、公平で透明な経営を行うための仕組みです。企業が違法行為をしないように前もって監視をしようという意図で作られたというわけですね。
コーポレート・ガバナンス・コードが重視されるようになったのは1990年代後半からですが、その認識が大きく変わったのは、2008年のリーマン・ショックの後です。金融機関などが過剰なリスクを抱える要因としてコーポレート・ガバナンスの欠如が指摘されるようになったのです。
日本においては、2015年に定められました。
日本におけるコーポレート・ガバナンス・コードは、5つの基本原則と、その下に30の各原則が並び、さらに補充原則数が38存在します。
ちなみに5つの基本原則は以下の通りになっていますね。
1. 株主の権利・平等性の確保
2. 株主以外のステークホルダーとの適切な協働
3. 適切な情報開示と透明性の確保
4. 取締役会等の責務
5. 株主との対話
ようするに、具体的には、取締役と執行役の分離、社外取締役の設置、社内ルールの明確化などをきちんとすることで、株主やそのほかのステークホルダーの立場を踏まえ、それぞれの企業においての持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図っていこうというわけです。
その特徴としては、「コンプライ・オア・エクスプレスイン」という方法が採られていることが挙げられます。これは、日本版スチュワードシップ・コードでも採られていますが、コード自体の実施は義務付けられているわけではなく、それをするかしないかについては企業側が選ぶことが出来るということです。ただし、実施しない場合には、実施しない理由を社会に対して説明しなければなりません。
コーポレート・ガバナンス・コードは、スチュワードシップ・コードと一対をなすものであると考えられています。それは、投資家がリスクを伴う短期投資ばかりを行っていれば、社会的リスクが増大する原因になりますし、一方で企業側が原則を無視したガバナンス体制を行っていれば投資家がリスクにされされてしまうからです。
まあ、近年までこういった明確なルールがないままに、企業経営や投資が行われてきたというのは恐ろしい話なのですが……。
これらの取り組みはCSRを浸透させていくためにももちろん重要な仕組みであると思います。上場企業だけでなく、すべての企業においての「会社経営の当たり前」になってもらいたいものですね。