「コミュニケーション」 著 大澤真幸

「コミュニケーション」
著 大澤真幸

コミュニケーションとは何たるかを徹底的に理屈で説明した本でした。若干文系には辛い部分もありましたが、普段からコミュニケーションに悩んでいる人にとっては、その正体を出来る限り分かりやすく説明してくれているので、人によっては目から鱗の本かもしれませんね。
前半部分では、お互い以外とはコミュニケーションが全く取れない双子の姉妹を実例に挙げて、様々な角度からコミュニケーションとは一体何であるのかが考察されていて、とても興味深く読むことが出来ました。
また、コミュニケーションの話が発展して、AI開発におけるフレーム問題にまで話が及んでいるところは、SF好きのわたしとしては見逃せないですね。
フレーム問題とは、ようするに有限の情報処理能力しかないロボットには、現実に起こりうる問題全てに対処することができないことを示すものなのですが、人間がそうした無限に起こり得る可能性を“無視”することによってフレーム問題を解決しているという話はとても面白かったです。結局は、いかに無視を効率よくしているかがコミュニケーションの肝になっているという話は、考えたこともなかった話なので非常に興味深く読めました。