オランダ 多文化主義の曲がり角

https://forbesjapan.com/articles/detail/27574?internal=nav_cat_economics

世界でもトップクラスで多文化主義が進んだオランダの現状に関する記事です。
第二次世界大戦中、ポーランドに次いでホロコーストの被害者が多かったオランダは、戦後から多文化主義が当たり前なマイノリティの権利を認める寛容な国になっており、今やスウェーデンに次いで多文化主義のお手本となっています。

多くのことがオランダの政策に学ぶべことがある一方で、ただあまりに寛容的でありすぎたために、問題も生じているそうです。
移民などを受け入れつつも、同化政策を取るフランスなどとは違って、オランダでは移民などの他民族のコミュニティに対して、一定の自治を認めており、国はそれに対して不干渉という姿勢をとっています。
一見これは素晴らしいことにように思えます。いくら他の国来たからといって、自分の元々のルーツを捨てたわけではなく、各々の文化を守るというのは大事ですからね。ただ問題は、寛容的であり過ぎたために、保護されている移民などの多民族の多くの人たちがオランダ語を喋れない等、社会的統合がされていないので、就業することが難しくなっており、失業率の高さや貧困化が目立ってきているのです。
当然、一部のオランダ人の中には、こうした状況が果していいことなのかどうか声を挙げ始めています。
実際、元々のオランダ人のコミィニティと多民族のコミュニティとは、隔絶化傾向にあり、それが貧困地域の広がり、すなわち格差の顕在化を表わすようになってきてしまっていますからね。

この問題は難しいです。確かに、フランスのような同化主義の押し付けは、軋轢を生みます。
かといって、多文化主義を大事にするあまり、移民などが社会的自立がその国において出来ないというのも困ります。
結局フランスでも、どんなに同化主義ととっても、移民やその子孫の貧困化は変わらないですし、軋轢もまた変わりませんしね。
ISによるシリアの内戦で、ヨーロッパにおいて移民が急増したことも問題を複雑化しているのかもしれませんが、やはり移民や他民族に対して、その民族性を認めた上で、いかに教育を与えて行けるのかという話にどうしても行き着きますね。
自分の国の若者にすら、教育が行き届いてないのに、という話にも確実になりますが、どんどんと外国人労働者が増えている日本もこうした欧州の問題を踏まえた上で、ただ何となく足りないから呼ぶというわけじゃなく、ちゃんと彼らとうまく共生できる道を探さないといけませんね。

誰もが平和に、幸せに暮らせる。それが一番なのですからね。