吉本お家騒動は、世代間闘争の縮図

あの社長の会見にもかかわらず、バイキングの出演者が「そもそも宮迫さんの嘘が……」と吉本に矛先を向けさせないように大合唱してたようですね。そういう忖度がそもそもダメだというのに。まあ、フジが忖度したのか、吉本が頼んだか定かではありませんが。
未だに宮迫さんを叩き続けている人が一定数いるのは、こうしたイメージ戦略の結果だったんですね。怖い話です、ホント。

それにしても、吉本のお家騒動を見ていると、ダウンタウン世代以上と、それ以下で、今の経営陣に対する想いが真逆なのがよく分かりますね。
ダウンタウンの松本さんが大崎会長を擁護しているのを始め、大御所たちは若手に余計なことを言うなとばかりに強く出ています。
一方で、ダウンタウン以下の世代の人たちは、極楽とんぼの加藤さんを始め、会長も社長も信頼していないようです。

こう考えると、大まかに見れば、これは大阪対東京の構図というよりも、ようするに世代間闘争なんですよね。ファミリー的な感覚で結びつく、既得権を持っている経営陣及びダウンタウン以上世代と、NSCが出来て以来大量生産されて、あまり甘い実を食べていない世代との。
極楽とんぼの加藤さんは、そういう構図がわかっているからこそ、あれだけ噛みついているんですね。
でも、こうして考えてみると、確かに松本さんは、この問題に登場した当初はかっこよく写りましたが、今の体制を死守したい、大崎さんがいたほうが自分は安泰だという保守的な臭いもしてきます。
本来、パワハラ問題だけでも、社長の辞任、もしくは第三者委員会を設立しての調査は必要だというのに、何もなしに、お茶を濁されても、そりゃ、加藤さんたちの立場から考えたら、納得できるわけがありませんよね。
そういう意味で、サブローシローのサブローさんが、賃金のことで噛みつく若手たちに「お前らふぜいが」と恫喝していましたが、これは違います。
そもそもの問題は、若手が闇営業に行かざるを得ない状況がおかしいのであり、その当事者である若手たちが声をあげなくては、その実態が見えてこないのですからね。
それをうやむやにし、芸もない若手は黙っとれ、と抑えつけるのは、それこそ何も変えようとしていないとみられてもしょうがありません。
第一、金額はともかく、一人一人の芸人を個人事業主扱いにしているにもかかわらず、契約書もなく、いくらの仕事をどれだけぶ分け前でやったのかも示さないのはちゃんちゃらおかしい話です。他の事務所はちゃんとやっていることですからね。吉本だけが出来ないという話では絶対にありません。
まあ、この辺については、公正取引委員会が動き始めているので、吉本も改善しなくちゃいけなくなってくると思いますが。

それにしても興味深いのは、反旗の声を挙げているダウンタウン以下世代がそのまま就職氷河期世代に重なっていることですね。
甘い汁を吸う上世代と、割を食う下世代。これって、吉本だけじゃなく、多くの会社でもある構図じゃないですか。
そしてこの不均衡こそが、若手が育つ土壌を奪い、日本がイノベーションからどんどんと遠ざかっていっている原因なんでしょうね。
何だか、この騒動を見ていると、それがよくわかります。