日本では企業もそうなのですが、NPOなどの非営利活動法人の多くもいわゆる3~5カ年の中期計画を持っていません。あったとしても、単に願望を並べただけのものが多く、目の前のミッションをこなしていく上で手一杯という状況が、未来に目を向けにくくさせているのでしょう。
ただ団体が成長していく上で、ただ闇雲に運営をやっていてもなかなか効果は上がりません。発展していくためには、まず組織を整理するところからはじめ、具体的に何をどう戦略的にアプローチしていくのかを前もって決めていく必要があります。
中期計画の策定には各団体によって様々な方法がありますが、ここでは一般的な方法の流れを少し具体的に説明したいと思います。
1.中期活動計画の準備
・誰か中心になって策定するのかを決める。→ 特定の誰かの意見を元に決めるのではなく、第三者の意見を入れた上で、複数人の検討グループを作るのが望ましいですね。
・計画を策定する上での情報の整理 → 団体の現状を確認出来る資料の用意
2.団体のミッション・ビジョンの確認
・そもそも団体がどのようなミッションを持った団体であるのか、また3~5年後にどのような団体になってほしいのかを明確にイメージして共有する。
3.課題の優先順位付けと具体的目標の設定
・組織の現状や、強みや弱みなどを整理した後で、課題として挙げられるものを抽出する。 → ここで大事なのは、すべての課題をいっぺんに解決しようと思わないこと。課題の中で重要性の高いものを優先順位付けし、3~5年後のビジョンに向けた実現可能な具体的な目標設定を行う。
4.合意を形成する
・具体的な目標設定を元に中期計画の草稿を作る。
→ 草稿の段階で、理事会や会員、その他の支援者などから様々な意見を聴く機会 を設け、反映させた上で合意を形成する。
→ ホームページやパンフレットなどで公表。
以上が一般的な計画策定の流れとなります。
日本で中期計画を立てている非営利団体が少ないのは、助成財団の助成審査において、中期計画の有無を査定するところがほとんどないからだと言われています。ただ複数年の助成を行う機関が増えてきたことにともない、中期計画の査定をする財団も増えてきているようです。ほとんどの非営利活動団体で中期計画の策定が行われている欧米の風潮を鑑みても、今後は日本でも、中期計画を策定するのが当たり前という時代になっていく可能性が高いのかもしれません。
確かに中期計画を策定することは手間がかかる作業であるかもしれませんが、中期計画を立てることにより、団体の方向性がハッキリとし、スタッフやボランティアの間にも一体感が生まれるという相乗効果があるのは間違いありません。
なので、まだ自団体が中期計画を策定していないのだとしたら、とにかくまずは、団体内で話し合って、計画に向けた整理からでも始めてみるといいと思います。