フィランソロピー(社会貢献)教育とは?

欧米では昔からフィランソロピー教育が盛んに行われています。

フィランソロピー教育とは、社会貢献の経験を通じで、多様な価値観を尊重しなければいけないことを知り、また自分の存在が誰かの役に立つことを知ることで、自己肯定感を高めていくという教育です。

社会貢献というと、チャリティーやボランティアなどがまず頭に浮かびます。実際、日本ではボランティア教育が先行する形で始まり、ボランティア活動の単位認定が認められることや、専用施設や講座の機会が広まるにつれて、その推進が図られてきました。

近年では、学校が地域と連携して現場を体験させるという方法だけじゃなく、様々なNPOやNGOがボランティア・社会学習のツールを使った模擬体験型プログラムを提供することで、急速に広がりを見せています。

寄付の現場でも、従来の街頭募金に立って寄付を集めるなどの取り組みだけじゃなく、学習ツールを使った寄付の模擬体験を提供するプログラムなども取り組まれています。

ちなみにアメリカでは、サービス・ラーニングというプログラムが連邦政府によって財政的に支援されることで広がっています。

これは、一言でいえば、奉仕活動(サービス)と学習活動(ラーニング)の実践を統合させた学習方法です。学生が教室で得た知識を用いて、地域社会において社会貢献活動を行い、これにより、学習者と地域社会が連帯することで双方に利益がもたらされる、という感じの流れですね。

もう少し具体的に言うと、例えば、河原のゴミを拾うことはただのボランティアであり、河原の歴史的な成り立ちや河原のゴミがどのように生態系に悪影響を及ぼすかなどを知ることはただの学習です。

サービス・ラーニングでは、まず河原についての上記の学習をし、河原にゴミがあることが色々な意味でいかにいけないかということを知った上で、ゴミを拾うボランティアをします。
さらにはそのボランティアを効率よく、また持続してやっていくためには、どう地域と連携をすればいいのか、とか、それをするためにはどんなビジネスをやればいいのか、などを考えていき、実践できるところは実践してやっていきます。すべての行動が統合され、意味づけられている手法ですね。

日本でも、こういったサービス・ラーニングに近い手法で、社会貢献教育を軸としたカリキュラムを作っている高校が少ないですがあるようです。

こういった教育は、学習意欲が湧かず、そもそも何をどう学んだらいいのかわからない子どもたちにはうってつけで、生きていく上での何かのヒントを与えてくれることは間違いないでしょう。

またいわゆる偏差値が高い子どもたちにとっても、こういうカリキュラムを経験するだけで、実際に大人になった時に社会とのかかわり方が変わってくるはずです。彼ら、彼女らが企業や個人の利益のためにだけ動くのではなく、社会に対して動いてくれれば、世の中はもっとよくなっていくはずですからね。

色々なやり方はあると思いますが、教育機関にはぜひともこうした手法を積極的にカリキュラムの一つとして組み込んでもらいたいです。

子どもたちには、より実り多くあるように、様々なことに取り組んでもらいたいですからね。