FIFAが”スーパーリーグ構想”にけん制…6大陸連盟会長との連名で声明発表
FIFAが巷で計画されている欧州スーパーリーグに対して公式に反対を表明し、これに関与した選手やクラブは、FIFAやその傘下の各連盟が主催する大会に参加できないことを明文化しました。
欧州スーパーリーグ構想とは、欧州クラブ連盟(ECA)によるもので、UEFA(欧州サッカー連盟)主催のチャンピオンズリーグ(CL)に対抗するアイデアとして計画されたリーグ戦のことですね。ポイントは欧州の16のビッグクラブだけが参加するという点です。
今回のFIFAの決定に関してはわたしは全面的に支持したいです。
確かにビッククラブだけが参加する大会はサッカーを観るだけの立場からするとわかりやすく魅力的に映ります。ただこんなことをやってしまえば単に格差を固定してしまうだけの話で、今あるビッククラブさえ潤えばそれでいいという考え方に繋がってしまいます。
サッカーも興行であることは確かだと思いますが、だからといって勝ち馬に乗っている人たちがあくなき欲望のために何をやってもいいという話にはならないんです。
サッカーは興行であると同時にスポーツであり、公益性の高いものでもありますからね。
スーパーリーグを計画している人たちからすれば、FIFAが何でもかんでも独占してしまうのはおかしいという話でしょうし、経済的な自由はあってしかるべきだと反論もするでしょう。
ただFIFAやその傘下にある国際的な組織がこれまで長い歴史の中でサッカーというスポーツを広め、世界的な人気を集めるようにしてきたのは事実であり、FIFAが取りまとめをしてルールをキチンと作っているからこそ、わたしたちは今サッカーを身近に感じて楽しむことが出来ているのです。
それにそもそもそれぞれのビックグラブもその枠組みの中で大きくなっていったんですからね。自分たちが巨大になったら、今度はその既得権を守ることに執着し、今度は他者はどうなろうと、甘い汁だけをかすめとろうとするのは道義的にかなりどうかと思います。
FIFAは今回、スーパーリーグ参加のクラブだけでなく選手にまで、もし参加の場合はFIFAや傘下の各連盟の主催の大会には一切出れないと明言しました。W杯も欧州選手権もチャンピオンズリーグも出れないということです。
つまりそれでもスーパーリーグをやるとなれば、FIFAと袂を分かつくらいの覚悟でビッククラブも臨まなければならなくなります。
さすがにビッククラブもそんなバカなことまではしないと思うので、これで計画は暗礁に乗り上げるかもしれませんが、まだ安心はできません。
スーパーリーグを作ろうとしている人たちは莫大な資金力を使ってFIFAの理事を説得をしにかかるでしょう。放映権料が頭打ちになっている今、ビッククラブは自分たちの利益を中小クラブに分配されるのを好ましく思ってなく、とにかく自分たちにもっとお金が集まる仕組みに作りたいのです。
Jリーグの成功を見てもわかるようにプロサッカーの組織はその地域性が生命線です。サッカーが地域と結びつくことで競技人口や観客の裾野が広がっているのです。
そうしたこれまで世界が培ってきたサッカー文化をないがしろにしているスーパーリーグ構想は、ビッククラブの傲りにほかなりません。
聞こえのいい甘言に騙されてはいけませんよ、本当に。あなたがサッカーを愛する人ならば間違えても一部の人たちだけが儲ける仕組みに手を貸さないでください。
ビッククラブだけがより巨大になっても、比例して中小クラブが干上がるだけです。そしてそれは有望な若手が育まれる土壌が奪われることを意味し、巡り巡って有望な若手を獲得出来ないことでビッククラブの首を絞めることになるでしょう。
つまりサッカーそのものの質が下がることを意味するのです。そうなればファンが離れていくのは必須です。
サッカーに限らず経済格差が広がることはロクなことになりません。
そのことは、世界中で経済格差が広がっている中で、誰もが実感していることだと思います。
これ以上持つ者だけがどんどんと豊かになっていく世界に対して、NOという意志を突きつけましょう。