先進7ヶ国中最下位の日本の賃金 まず最初にわたしたちがするべきこと

なぜ日本企業は賃上げを抑制するようになったのか 先進7カ国で最下位

日本の賃金が先進7ヶ国中最下位であることを示している記事ですが、なかなかまとまっている記事だと思います。
その理由として、
①労働組合が機能していない。
②非正規雇用の増加と役員報酬の高額化
③雇用流動性の低さ
④内部留保の多さ 
と以上の四点を挙げています。

ざっと見ただけで経済格差が広がるのが当たり前だという状況にあることがわかりますね。
実際労働者の賃金がどんどんと下がってる一方で、売上高1兆円以上の企業における社長の報酬総額は右肩上がりで増えているようです。
そして問題は、正社員の雇用を労働組合が守ろうとすればするほど、雇用の流動性が生まれずに賃金低下が続いてしまっているという点です。
悩ましいのが、じゃあ、終身雇用制を止めて、雇用の流動性を上げれば、優秀な人の賃金は上がっても、そうじゃない人の多くは正社員から非正規雇用に転落し、結局は格差がさらに拡大して全体的な賃金の平均は下がってしまうということです。
現状は巧妙に労働者が身動きできない状況に追い込まれているというわけですね。
確かにこれでは労働組合も目立った動きがほとんど出来ず、機能不全に陥るのは無理ない話です。

ではどうすればいいのかという話になりますが、とにかく企業の金払いが良くなるということと個々人の生産性を上げていくということを同時に行わない限りは事態は好転しないでしょう。
果たしてそんなことが出来る魔法のような手口はあるのでしょうか?
そして、それをするためにまず必要なこととは、何でしょうか?

わたしは個人としては、それは、企業にとって価値あることをやっている人と、やっているフリをしている、つまりブリジットジョブをやっている人を見極めることではないかと思っています。
つまりは終身雇用を維持したまま、年齢や性別で自動的に地位や賃金が上がるのではなく、その能力ややったことに応じて賃金が支払われるという仕組みを作り上げるといったイメージでしょうか。
終身雇用の枠組みは守った上で、ジョブ型雇用を実質的に採用するというといったらわかりやすいかもしれません。
ようするに会社にとって価値あることをやっている人はどんどんと昇級・昇給していき、そうでもない人は雇用は守られるものの、降格・減給をされるというシステムです。

大事なポイントは、誰がどうその人が組織にとって価値ある仕事をしているのかどうか見極め、評価するのかという点です。
稼いでいるという側面も大事ですが、その人の人格や育成能力など目に見えにくいところもキチンと評価する必要があります。
そんなのは無理だし、それこそ時間の無駄で非生産的だという人はいるでしょう。
でもマネジメントをするというのは、本来人をそうやって評価し、育てることのはずことのです。
それが、出来ないというのなら、その人こそが人を評価するようなポジションに向いていない人なので降格されるべき人なのです。
もちろんそうは言っても、どうしても見えない部分を評価するとなると、主観や偏見が入ってしまいます。
これには出来るだけフェアに評価が行われるべき仕組み、例えば必ず複数人で人物評価をしたり、評価そのものを公表したりなど、を様々な形で工夫していく必要があるでしょう。

日本人の生産性を下げているのは、若者や非正規雇用の人ではありません。
その大部分は、高額な賃金を貰いながらも、その地位にあぐらをかいてロクなマネジメントもしていない人たちです。
こうした人と価値のある仕事を出来る人たちを入れ替えていく。
もちろんやり直しも全然アリですし、ネガティブな要素だけでなく、子育てや介護などの理由で自分から地位や賃金を下げる(その分時間に融通が利く)という状況を作るのもアリです。
雇用は守る上で、地位や賃金を固定化しない。
基本的な部分での安定を担保に流動性と働きやすさを作り出していくことが大事だと思うんですよね。

今頑張っている人が報われるような仕組みと、稼ぐだけじゃなく、様々な価値ある能力が認められる、そういう組織に組み替えていけば、自然と生産性が上がっていくし、生産性が上がれば、今度は企業が賃金を出来る限り上げていく番です。
生産性がないと言って賃金を低くするだけでは、余計に生産性は悪くなります。
誰に何をやらせることが生産性が高くなるのか。そして、誰にどれだけ賃金を上げれば、生産性が上げるのか。
そもそもそういう部分を年齢や性別、在籍年数などで決めていること自体がナンセンスです。
そうした目が養われている人間が、経営陣に加わる仕組みをを作って初めて組織が活力を得るんです。

生産性の話は、労働者ばかりの問題ではありません。むしろ、それをうまく使えない経営者の問題の方が大きいです。
非正規雇用などを広げて、弱者に境界線を引く前に、まずはそうした上に立つ人間の中で、刷新が行われていくべきですね。
もちろんそんな話は夢みたいな話かもしれません。
でも、それくらいの構造を変えていかないと、本当に何も変わって行かないんですよね。

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