「一日の感染者5万人」でも英国が「医療崩壊の心配ゼロ」の理由病院の9割が国営、データサイエンス用い医療資源を効率的に配分
欧米では感染者がはるかに多いにもかかわらず、医療崩壊が起きないのに対し、なぜ日本ではすぐに医療崩壊になってしまうのか、この記事を読んでよくわかりました。
記事では、イギリスの話をしているんですけれども、ようするに持てる医療資源を最大限に広げて、その上でそれを効率的に運用しているといわけです。
具体的には、新たな病院を作るなどして病床を広げる一方で、医師や看護師などに関しては潜在的に資格を持っている人や学生などをフル動員して確保しているそうです。
驚いたのは、コロナ専門の病院に異動することに関して国がそれを同意せずに出来るという話。確かに通常時においては、これは問題がありますが、今回のような非常時における人材確保においては、これは無茶苦茶効果的です。
イギリスの場合は、そもそも病院の9割が国営であり、コロナ以前から患者の振り分けを一括にまとめてやっていたという下地があることからこそ、それが出来ているという話になりますが、明らかにこの点が日本と大きく違っている点なんですよね。
日本の場合は、病床や設備というよりも、明らかに医師や看護師の人材の確保がうまく出来ていないという点に問題があります。日本でもイギリスと同じように潜在的な医療従事者の発掘をやってはいるようですが、それで劇的に増えたという話は聞きません。
コロナが広まった当初に、スウェーデンがやったように何倍もの給与をコロナに携わる医師や看護師に払うという話なら話が変わるかもしれませんが、そういう努力はもちろんなく、あくまでお願いベースです。
そしてもっとも大きいのは、日本では国が一括して病院を管理しているわけではなく、かつての医局制度からの派生によって病院ができているが故に、各病院の横のつながりが希薄で情報共有が全然できていないという点です。
実際にこれはもはや薄々と感じとっている話ですが、コロナ患者を受け入れている病院とそうじゃない病院の格差が激しくなっており、一部の病院だけに負担がいってしまい、非常に非効率な話になっています。
コロナ患者を受け入れない、あるいは受け入れとも申し訳程度という病院の話によれば、コロナ以外の患者を見るところが必要だという話ですが、たとえそれがそうだとしでも、いくらなんでもバランスが悪すぎます。
まあ、病院側からすればコロナ患者をたくさん見てもお金にならず、むしろ風評被害が出て経営が悪化したらどうするんだという話なのかと思いますが、そこはちゃんと国なり自治体なりが音頭をとって柔軟に捌けるようにしないと、いつまで経っても医療崩壊スレスレを継続するだけになってしまいますよ。
医療も教育と同じで国の礎ですからね。その運営において医師会の意思ばかりが反映されてしまうのはどうかと思います。
政府の分科会や知事会がロックダウンが出来るように法改正を求めていますが、それよりも明らかに医療資源をもっと柔軟かつ効率的に運営が出来るように整備し直すことが先です。
緊急時において、国民のためにどうすればよいのかを考えて迅速に動ける社会と、あくまでこの期に及んで利権がらみで適切に資源を活用することが出来ない社会の差がハッキリと出てしまっていますね。
社会として、誰かがやってくれるという意識が強ぎるのかもしれませんね。