高市推しのネット保守が叫んでいた「河野太郎は反日」の嘘

高市早苗氏はなぜ敗北したか―ネット保守の過激すぎる応援がアダに

非常に中身のある記事でした。
先の総裁選において、高市さんを応援する、いわゆるネトウヨと呼ばれるネット保守の人たちが河野さんを執拗に攻撃していたのですが、その攻撃内容について、しっかりとファクトチェックをしています。
ネット保守の人たちが河野さんについて主張していたのは、

1)河野さんの父である河野洋平氏、および祖父であるは、そもそも新ソ反米の思想の持主であり、三代目である河野さんも売国奴に違いない。
2)河野さんの一族がオーナーである日本端子(会長が洋平氏で、社長が河野さんの弟の二郎氏)は中国に現地法人を作り、しかも中堅規模の会社にもかかわらず、北京京東方科技集団股分有限公司(BOEテクノロジーグループ)という営業規模2兆円規模の大企業と合弁している。これは中国と河野一族が特別な関係あるからにほからなず、よって河野氏は新中政策をとるに違いない。
3)河野氏が「天安門バッジ」や「毛沢東バッジ」を付けている写真がある。本来、両バッヂは中国共産党員しか付けられないはず。この写真が合成ではないとしたら、なぜ付けていたのか、河野氏にしっかり説明してもらう必要がある。

と簡単にまとめるとこのようなネタがネット上で主にしきりに叫ばれていました。
ただキチンとファクトチェックをすると、

1)そもそも同じ血族だからといって、思想が同じとは言えない。河野氏の祖父の一郎氏が、北方領土問題で妥協姿勢(歯舞色丹の二島返還)をとったとあるが、そもそもそれは彼が新ソであったからではなく、当時の日本外交が出来うる最大限界であり、むしろ一郎氏は強硬にソ連と対峙していた。そもそもこの一郎氏の姿勢を仮に親ソと規定するなら、第二次安倍政権下の対露交渉について、四島一括返還の方針を封印し、二島返還に転換した安倍晋三氏も親ソ(親露)ということになる理屈だが、そこは無視されている。
2)中国に現地法人を作っている日本企業は、日本端子に限らず、山のようにある。むしろ巨大な経済大国となっている中国を無視する企業の方がまれ。合弁については、日本端子が特殊な技術を持っている会社であり、河野氏に関係なく、中国企業にとってもメリットがある話であるから。ちなみに同じような理由で中国の大企業と日本の中小企業が合弁するケースも山のようにあり、日本端子に限った話ではない。
3)バッチをつけた写真については、実際には日中韓外相会談に同席した韓国の康京和(カン・ギョンファ)外務大臣(当時)も類似のバッジをつけており、恐らく来賓用の特別な微章と思われる。またフィリピン・マニラでの日中外相会談(2017年)の際、中国の王毅外相と河野氏のツーショットが切り取られ、またもや河野氏の背広につけられていたバッジが、王毅外相と同じもので、それは「毛沢東バッジ」であると断定され、中国への恭順の証として大きく拡散されたが、これも実際にはASEAN外相会談で各国の外相が同様に装着する微章である。

と見事にネット保守の誹謗中傷を論破していますね。
大きなメディアが河野氏を追求しないのは、こうしたファクトを理解しているからであり、デマを流してしまえば自分たちの報道の信用性がなくなるからです。

個人的には、基本的に安倍さんや高市さんがどのような政治思想をもっても構わないとは思っています。
それを応援することについても何ら問題ありません。
多種多様な考え方が認められるべき世界の中で、様々な考えがあり、その中でよく話し合って道筋を考えることこそが民主主義の考え方ですからね。
でも、自分たちの考えだけが正義と考え、その考えの元に他の人たちを貶めるために自分たちの推測や憶測だけで都合よく話をデッチ上げることは大きな間違いです。
これは別に右も左も同じことが言えるのですが、こうしたことが当たり前の話になっていき、大きな声で騒ぎ立ていることで反論する声を潰して行けば、それは確実に全体主義への道に突き進んでいくことになります。
歴史修正主義といわれるものは、基本的にこうした都合のいい憶測や推測が独り歩きして、疑惑になり、デマに変わっていくことで為されていきます。
自分たちの主張を通すためにあえてそうしたやり方をとっている人たちがいるのだということを世間はより認識するべきだと思いますし、メディアもこうしたデマが根も葉もないような話が飛び交っている時は、キッチリとファクトチェックをして公表するべきだと思います。
一個人の人でこれだけ調べることが出来る訳ですからね。
余計なことをして、余計な批判をされるのではないかと恐れるよりも、こういうときにこそ真実をキッチリと追及するジャーナリズム魂を見せてほしいですね。

それにしてもフェイクニュースによって、世論が動かされ、世の中の趨勢が変わっていくというのは本当に恐ろしい世界です。