アンジャッシュの渡部さんがテレビに復帰しましたね。
復帰については、賛否両論があると思いますが、個人的に気になっているのは、なぜにこの問題はここまで引っ張られているのか、何が一般視聴者にとって渡部さんを拒絶に走らせているのか、そしてひいては、渡部さんは一体何をすれば、またタレントとして受け入れられるようになるのか、という点です。
渡部さんが批判されている点をまとめると
①多目的トイレを不倫の現場として使っていた。
②妻子があるにもかかわらず、不倫をし、かつその不倫相手の女性に対して人として扱わないような態度を取っていた。
③そもそも芸人からグルメの識者として成功していたことそのものが、調子に乗っていたと認知されていて、転落したにもかかわらず、またタレントてして稼ぐことが許されるかもしれないということ自体に怒りを買ってしまった。
といったところでしょうか。
誰もが認めるところは①の理由です。
常識的に、ここで性行為をすること自体が間違っており、普段多目的トイレを使わなければ行けない人にとっては、気持ち悪い話でしかないですからね。
なので、ほぼほぼ渡部さんの話が出るときは、この「多目的トイレ」という言葉がセットになって出来ます。
これについては、誰もが問題視する話であるがゆえに、もはや反論はありません。
でも、誰もが一番に問題視するがゆえに、どうも渡部さんの話の場合、「多目的トイレ」という言葉ばかりがクロースアップされてしまって、上記に挙げた②や③の理由があまり表だって出てこないことが気になってしまいます。
多目的トイレで性行為を行ったことを軽視しているわけではなく、この問題はそれに留まらない問題であると思うんですね。
多目的トイレの次に問題視されるのは②の理由です。
ただこれについては、人によって、特に男性と女性によって意見が大きく異なっているように思われます。
ネットのコメントなどを見ると、「不倫については妻が許せば、他の人が口を挟む問題じゃない」「そもそも相手の女性もそういう関係だと割り切っているのだから同罪であり、とやかく彼女にとやかく言われる筋合いはない」などといったコメントがチラホラと見られます。
全部ではないでしょうが、おそらくその文体や文脈から多くは上記のようなコメントは男性によるものと思われます。
確かに、不倫を許すかどうかは、家族の問題であることは間違いありません。
また不倫相手の女性も、渡部さんが既婚者であることを知っている以上は、「不倫」ということについては、渡部さんを責めることは出来ないかもしれません。
でも、このケースで問題となっているのは、「不倫」もそうですが、渡部さんが相手の女性をどう扱ったかではないでしょうか。
報道によると、渡部さんは女性を多目的トイレに呼び出し、一方的に性行為だけをして、一万円を渡したとあります。
これを報道の通りに鵜呑みにすれば、渡部さんは女性に対してほとんど人として扱っておらず、ただ性行為だけをしたいがために呼び出したと思われても仕方がありません。
世の女性の多くが渡部さんに対して、未だに嫌悪感を感じているのは、場所が多目的トイレであったこともそうですが、やはりこの女性に対するほとんど人権無視を決め込んだかのような態度にあったように思われます。
そして、渡部さんのこうした態度は③の理由にも関連してくるんですよね。
多くの人が実は、おそらく感じていながらもあまり口に出していないのが③の理由です。
基本的に芸能人やスポーツ選手、有名な企業家、政治家などが倫理的に世間から外れたことをする場合は当たり前のように叩かれます。
でも、今ではそれだけではなく、単純に実力以上の地位にいると思われる人に対しては、少しでも調子に乗った言動があったり、人を下に見る言動があったり、または何かをごまかしているような疑惑などがある場合は、世間の一部の人は容赦しません。
眞子さまと結婚された小室圭さんなどがそれに当たりますね。
これは、経済的に格差が広がり、世の中に怨嗟が広がっているからであり、うまく人を出し抜いて地位やお金を得ている人思われる人に対して、卑怯だという考えが根底に流れてしまっているんですね。
よく分からない職業や、時流に乗った結果、派手にうまくいっている人などは、まさにこれに当たります。
そして、渡部さんも、本人はどういうつもりであれ、世間的にはこうした見方をされていたんですよね、間違いなく。
おそらく渡部さんが芸人だけ、もしくはその周辺だけで活躍している人だったら、ここまで嫌悪感が長引かなったと思われます。
ただグルメ王的しかり、王様のブランチしかり、スマートに芸能界でうまくやっているさまが、一部の人の目には調子に乗っているように見えてしまった。
もちろん、グルメの話にしても、司会者にしても、それなりに実力がなければ出来ないことだとは思いますが、ただ世間の目からすれば、別に渡部さんじゃなくてもいいわけで、目に見えるような形で実力がよくわからないのに、渡部さんが重用されているという点に、うさん臭さを感じてしまう人がどうしても出てきてしまったんですね。
この点については、渡部さんが実際に本当に調子に乗っていたという側面はあったかもしれません。
相方の小島さんが渡部さんのことを人間的に嫌いだと仰っていましたが、それはたぶん小島さんから見て、そういった側面が売れていたころの渡部さんには確実にあり、その行動の行き着く先が今回の多目的トイレでの不倫に繋がっているということは誰の目を見ても明らかで、本人の認めるところであるわけですからね。
こうして考えてみると、「多目的トイレ」という言葉一つで集約されるべき話ではないんだなと思います。
ただの不倫では済まされない問題であり、だからこそ未だに嫌悪感を覚えている人がたくさんいるというわけですからね。
個人的には、復帰そのものは、日本が職業の選択を憲法で認められている以上、別にいいと思っています。
ただ渡部さんの場合は、あくまで人気商売であり、渡部さんやその周りの方がいくら頑張ったところで、それを見る人が受け入れてくれなければ長く続けることは出来ません。
現状、まだまだ世間の多くが渡部さんを受け入れているわけではなく、渡部さんの今後は非常に厳しいと思います。
では渡部さんが今後また芸能人としてやっていくためにはどうしたらいいのかという話になると思いますが、これはもう行動で示していくしかないでしょう。
とかくお笑いの人は、笑わせればいいんだという論調になりがちですが、それは昭和の考えです。
多くの会社でこれだけコンプライアンス意識がうるさく言われている中で、芸能人だけが特別ということはありません。
特に今の渡部さんに対しては、倫理的な不信を感じている人が多くいるので、これを「笑い」だけでごまかしてしまおうとすれば、余計にそうした人たちの怒りと呆れを招くことは間違いないでしょう。
お笑いをやるなと言っているわけではありません。
当然、お笑いはお笑いで頑張ってやればいいと思いますが、世間の不信感を払しょくするための+αの行動が必要なんだと思います。
たとえば、以前、税金問題で世間に叩かれた次長課長の河本さんは、老人ホームでお笑いライブの慰問をするようになり、未だに月に一度、やっているそうです。
同じことをやれというのではなく、グルメの知識であれ、司会のスキルであれ、相応の力があるのですから、それを生かして、人々の不信を払しょくさせるような活動なり何なりをして、自分が今回のことを本当に反省し、大きく変わったんだということを目に見える形で見せてほしいですね。
まあ、誰にでも再生のチャンスは与えられるべきだとは思うので、頑張っては欲しいです。
でも頑張る方向を間違わずに、自分の過ちのなぜを突き詰めて、これまでのようにスマートさを売りにするのではなく、自分のカッコ悪さと向き合うことで世間に必要な人になってほしいですね。