上島竜兵さんが最後に教えてくれたこと

上島竜兵さんが亡くなってしまいましたね。
ご遺族や芸人仲間だけでなく、日本全国に動揺が広がっているように思えます。

有名人の自死は今に始まったことではなく今までもありましたし、最近でも竹内結子さんや三浦春馬さん、渡辺裕之さんなどの自死が記憶に新しいところです。
でも上島さんの場合は、お茶の間を何十年にも渡って笑わせ続けた人であるが故に、憧れや手の届かない人というよりは、身近な人と感じている存在だったので、なかなかその死の受け入れることが出来ない人がより多かったのではないでしょうか。
しかも普段から明るいキャラクターとして世の中に浸透していたので、ああいった陽気な人でも、自死を選ぶなんてことがあるだとショックを受けた人も多いと思います。

日本はそもそも自殺率が高い国なのですが、自分の身の回りの人が自死をしたという経験を持つ人は、確率的にはまだまだずっと低いとは思います。
知人の話としても、これまでそういった類の話を耳にすることなく、これまで過ごしてきた方も多いでしょう。
そうした中で、有名人の自死というのは、一般の人にとって、自死を身近に感じる、一つのエポックメイキングな出来事になりがちなのですが、とりわけ今回の上島さんの場合、上島さんのそれまでの露出度の高さと親しみやすさが相まって、本当に昔から知っている、身近な面白いおじさんが死んでしまったと感じた人が数多くいたと思います。

死を想像させないような明るさを持ち合わせていただけに、どうして死を選んでしまったのだろうと悔しい気持ちになっている方も大勢いるのではないでしょうか。
そして、そうした明るく人を照らし続け、身近にいるような気持ちにさせてくれた上島さんの喪失は、自死が実は自分の身近にもあるのだということを教えてくれたような気がします。

人は、とっても強い生き物である半面で、とっても脆い生き物です。
昨日まで前向きに希望を持って生きていても、ちょっとしたことでその気持ちが陰っていくことなんてザラにあります。
そしてそれは、誰にとっても起こりうることなんです。

これまで周りに自死した人がおらず、自分が自死をすることなど想像すらしてこなかった人だって、ちょっと先の未来は分からないんです。
人は簡単に死にます。
簡単な言葉や、簡単な行動で、自分がそういうつもりじゃなくても人を死に追いやることもあります。

明るく、みんなに好かれた生活を送っていても、どうしても気持ちが落ち込んでしまって、どうにもならない気持ちになってしまうことだって、珍しくはないんです。

人の気持ちは、ときに自分たちが思っているよりもずっと弱くなってしまうことがあります。
そして、それは誰の身にも起こりうることなのだと、上島さんが最後に教えてくれたような気がします。

わたしたちは、決して人が追いつめられることのない、どこかでちゃんと手を差し伸べられる、そんな優しい社会を築いていかなくてはいけませんね。

最後に、わたしは上島さんの笑いが大好きでした。
自分の人生がうまく行かない時でも、何度となく上島さんに笑わせてもらったことで、元気になりました。
上島さん、感謝しています。
そしてご冥福をお祈りいたします。