キーウ周辺での大量虐殺 引き金を引いたロシア兵はどこまで責任を追及されるべきなのか。

谷原章介 ロシア軍“大量虐殺”情報「引き金を引いた兵士が悪いのか、戦争を起こしたロシアが悪いのか」

ロシアがキーウ周辺から撤退したのは良かったのですが、案の定、民間人が大量虐殺されていましたね。
しかも、子どもにまで拷問したあとがあるとか、人のやることとは思えません。
ただ、ロシアの場合、これに始まったわけではなく、チェチェンでもシリアでも似たようなことをやってきたという話もありますからね。
たぶん、軍隊のこうしたやり方がそもそも沁みついてしまっているようにも思えます。
しかも今回は、式も高くなく、将官も何人も戦闘で死んでしまっているので、これまで以上に規律がないのでしょう。

さて、ここで今後問われることになるのは、こうした戦争犯罪についての責任問題です。
大前提としてそもそも戦争を始めた人たちが悪いのは確かです。
でも、現場にいる人間がこうした虐殺等の戦争犯罪を行った場合、それがどこまで問われるべきかというのは議論が必要なところでしょう。

実は、日本も第二次世界大戦後、多くの兵隊たちが戦争犯罪を問われました。
イメージとしては、フランキー境が出ていた「わたしは貝になりたい」を思い浮かべると分かりやすいですよね。
いわゆる政治家や将軍などのA級戦犯とは別に、B、C級の戦犯として一般の兵士が罪を問われたわけですけれど、日本人としては、おそらく上記のドラマなどの影響もあって、同情的に思っている人が当時も多かったと思います。
そもそも、負けた国の人間だけが責任を問われること自体がおかしいという意見もありますしね。
確かに、勝った方が一方的に負けた方をさばくという構図はおかしいと思いますが、国際法で禁じられているような行為を行ったとして、兵士が裁かれること自体は間違っていないと思います。
ていうか、ちゃんと裁かれないと、次にこうした状況に置かれた時に、兵士に対する抑止力が働かなくなってしまいますからね。
軍隊に所属する兵士は、たとえそれが急に徴集された者であっても、何をすれば戦争犯罪が問われるということを教育されるべきなんですよね。

同じ国の人間のことを考えると、まさかそんなにむごいことをしないとわたしたちはどうしても思ってしまいます。
「わたしが貝になりたい」に代表されるように、上官の命令に逆らえずにやむなくという兵士もたくさんいるでしょう。
それは、第二次世界大戦時の日本軍でもそうですし、今回のロシア軍においてもそうでしょう。
でも、残念ながら戦場という狂った状況の中では、進んで戦争犯罪を犯す人間は山のようにいますし、もっと悪く言えば、組織的にそれを行うことも日常的なんですよね。

以前、戦中の兵士の日記を読み漁ったことがありますが、正直、日本軍の兵士もかなり酷いことをしている人はたくさんいます。
現地の人から食べ物を略奪するのはもはや日常でしたし、現地の女性を強姦することも珍しいことではありませんでした。
これは、戦争だからしょうがないという話ではないんですよね。
兵士が兵士を撃つ。
これは仕方がないかもしれません。
でも、意図的に民間人に危害を加えることは、たとえそれが上官の命令であっても、やはり罪なんです。
決して戦争だからしょがないという話にしてはいけないのです。

今回ロシア軍がどこまで組織だって大量虐殺をしていたのかはまだ定かではありません。
でも、これをこのままにしてしまうと、ロシア軍はまたどこかで同じことをしかねないし、ロシアじゃなくても、大して罪に問われないのならと、他の国でも似たようなことをする国が出てくると思います。
まだまだ戦争は治まりそうにありませんが、これはちゃんと国際社会が中に入って、戦争犯罪があったかどうか、具体的に誰がやったのかまでを含めて調査をし、ロシアに責任を取らせる必要がありますね。