お金がなくても医者になれる? 和歌山県立医科大の新しい試み

全国初「産科枠」募集 産科医として卒業後9年間の県内勤務を条件に一定額援助 和歌山県立医科大学

これはなかなか面白い試みですね。産婦人科だけでなく、他の科にもこうした枠を設けると色々とメリットがあると思います。

思いつく限りで挙げていくと、まず記事にもあるように極端に医師が不足している科の医師不足の解消には確実に繋がりますね。
地方、特に遠隔地ゆえに医者がほとんどいない地域への赴任を条件とした枠を設けるのはありだと思います。
科での縛りはないものの、遠隔地医療施設への赴任が条件で援助を得られるという仕組みは、慈恵医大がやっていることで有名ですが、各大学で色々なパターンの募集のやり方があってもいいと思いますね。

また金銭的な援助があるということは、裕福でない家の子どもでもそうした制度を採用する医大が増えると、それだけチャンスが生まれます。
医大の学費の高さは、結果的に医者の世襲性を推し進めているので、大きな問題がありますからね。
色々な層の人が医者を目指せるような仕組みを作り上げていくためにも、こうしたやり方は理にかなっているのではないでしょうか。

あと、数年前に問題になった男女における合格比の問題についても、こうした入り口での枠を増やすというやり方は有効かもしれません。
外科系を目指すのは男子生徒が多いがゆえに、その人数を確保するために男子生徒の点数に下駄を履かせたという話ですが、これも大雑多に医学部医学科と募集するのではなく、外科系と内科系を分けて募集するなどをすれば、わざわざ男子に下駄を履かせる必要もなくなるのでしょうか。
例えば、文学部の中で、英語学科やフランス語学科などを選んで受験するのと根本的には変わりませんからね。

ただもっと突っ込んで考えると、メリットばかりではないことは事実です。
すぐに思いつくのは、科で縛ってしまうことによって、何らかのしょうがない理由で科の転向を余儀なくされた場合、それが可能かどうかという話ですね。
例えばケガや病気によって、長時間の手術などに耐えられない体になってしまった場合、長時間の手術を必要としない科に転向できるかどうかみたいな話ですね。
基本的には正当な理由がある場合には認められるべきだと個人的には思います。
まあ、確かに制度を悪用して、まず倍率の低い枠で入学し、その後転科して……みたいなケースも懸念されますが、でもそれはそれでしょうがないことだと思います。
それこそ、そうならないような仕組みを一緒に作って運用するしかないわけで、こうした懸念があるから、じゃあ、そのような枠を作るのは止めましょうでは、何も変わりませんからね。

それと、問題は卒業後、何年奉仕すればいいという話でしょうか。
9年が妥当かどうか……そもそもそうした条件がどこまで妥当かどうかは色々と議論の余地があるように思われます。

こうした制度が広がっていくことによって、みんながWINWINになるようなうまい知恵が出てくるかもしれませんしね。

とにかく県立和歌山医科大学の今回の取組には賛成です。
その後、こうした制度を利用して入学した人たちがどうなったのか、また地域の医師不足がこの制度によってどれだけ解消されたのか、続報を知りたいですね。