「地磁気逆転と「チバニアン」」 著 菅沼悠介

「地磁気逆転と「チバニアン」」 
著 菅沼悠介

これはかなり勉強になりました。
知らないことがたくさん書いてありましたね。

まず地球に磁気がある、いわゆる地磁気というもの自体があることは、もちろん長年磁石というものを使っていたので知っていましたが、それがなぜ起きているのか、そしてどういうものなのかは恥ずかしながら詳しくは知りませんでした。

簡単に言うと、地球内部の構造を考えなくてはならず、中心から内核、外核と続く中で液体である外核が対流を起こしており、対流が起きれば電流が発生し、それが磁場を作るというわけなんですね。
そのようないわば地球のダイナモ作用から生まれた磁気は、現状は南極から発生し、双極に北極に向かっているわけです。
磁石が北を指すのは、このように地磁気が南極から北極に向かっているからなんですね。

そして驚いたのが、こうした地磁気は、ときに逆転することがあるという話。
この話は全然知りませんでした。
しかも地球の歴史は、地磁気の逆転の歴史でもあり、これまでに何度もこの現象が起きてるという話じゃないですか。
もちろん数十万年単位とかなので、途方もない話ですがこれはすごい話ですね。
磁石は北を指すのが常識だと思っていたのに、南を指す時代もあったというのです。

この本には、地磁気の説明から地磁気の逆転を証明するに至った話がわかりやすく書いてあるので、こういう分野に興味がある人には目からうろこですね。
残留磁化された溶岩など記録されている古地磁気から調べたり、海底堆積物から調べたり、さらには宇宙から太陽風と地磁気バリアの隙間をぬって降り注いだ超新星爆発の残骸(炭素14やベリリウム10)を調べるという、話が壮大過ぎますね。

その後に展開されるチバニアンという名が地層に刻まれるまでの話にも惹かれました。

それにしても、現在、地磁気の強度は二百年ほどかけて下がっており、このままいくと数年年後には地磁気逆転の現象が起きるかもしれないそうです。
もちろんそれを目にすることは出来ませんが、改めて自分たちが地球のダイナミックな歴史の中に生きているのだということを学ばされますね。