「AI vs.民主主義 高度化する世論操作の深層」 著 NHK取材班

「AI vs.民主主義 高度化する世論操作の深層」 

著 NHK取材班

2016年にトランプ氏が当選したアメリカ大統領選挙の話を中心に、AIがどのように選挙に利用され、民主主義が無効化されているのかを取材して分かりやすく書かれている本です。

簡単に説明すると、AIによって特定の主義主張に迎合しやすい人がマイクロターゲティングされた上でプロファイリング化され、その人たちに集中してフェイスブックなどで政治広告を大量に流すことで支持者を増やしていくというやり方が、いわゆるトランプ派において幅広く行われていたという話です。

トランプ派もそもそもは、その前の大統領選においてオバマ大統領の選挙陣営がやっていたSNS戦略を模倣・発展させたというわけなんですね。そして2016年のトランプ大統領誕生を受けて、民主党もSNS等での選挙対策に力を入れ始めているというわけです。

AIによって世論操作が行われているとして、民主主義を壊すという意味で脅威と捉えられている現象なんですけれども、現状イタチごっこになっているようですね。

しかもこの話、アメリカに限った話ではなく、日本でも徐々にAI等を使った選挙対策をする政党が増えて来ているようです。

気付かないうちに浸透し、気づかないうちにターゲットとされ、特定の政治家や政党の主義主張に取り込まれていくという話だから、かなり怖い話ではあるんですよね。

実際、2016年のアメリカ大統領選挙においても、アメリカの世論の分断を狙ったロシアが選挙介入をしていたという話もあるし、民主主義を守るという点においても、早急に対策が求められる話であると思います。

日本もすでに陥りつつありますが、主義主張によって極端に国民が分断されてしまうと、政治に白経済にしろ、その国そのものが成り立たなくなっていきますからね。

一つの対策としてEUが個人情報を基本的人権と見なし、簡単に移動させたり、業者が利用するにしても厳しい条件を課しているという話にはなるほどと思いました。

EUはさすがにこういうところは進んでますよね。

あまり意識がされないままに、今や巨大プラットフォームによってビックデータが集められ、それこそが大きな商売となっていますが、そもそもビックデータは企業が勝手に商売道具として使っていいものとしている時点で疑問に思います。個人のテータを守るという意識において、わたしたちももっと高く持っていかなくちゃいけませんね。

日本でも色々と対策が始まっているようですが、EUを見倣って早くその辺りの仕組みを作ってもらいたいと強く思いました。

かなり大事な話ですね、この話は。