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厳選名著紹介

「男らしさの終焉」 著 グレイソン・ペリー

「男らしさの終焉」  著 グレイソン・ペリー ジェンダーの話と言えば、大抵は女性の人が何かを書いていることが多いのですが、この本が特徴的で重要なのが男性が男らしさに対して一石を投じているという点です。作者のグレイソン・ペリーはイギリスでは有名なアーチストで、確かに女装が趣味である点などいわゆる一般的な男性像とはいいにくい部分はあるものの、男性の在り方に大して疑問に思っているん点はおおむね正しいこと […]

「君たちはどう生きるか」 著 吉野源三郎

「君たちはどう生きるか」  著 吉野源三郎 宮﨑駿監督がこの本を題材に映画を作るということで、再び脚光を浴びた名著です。 一言で感想を言えば、もっと早く出会いたかった本でした。高校、大学、せめて二十代のときに出会っていたら、間違いなく人生の一つの指針となった本です。自分の子どもに読ませたい本、堂々の一位ですね。 物語そのものは、とても地味です。いわゆる少年のありふれた日常を描いているのですが、その […]

「未来の物語 チェルノブイリの祈り」 著 スベトラーナ・アレクシエービッチ

「未来の物語 チェルノブイリの祈り」  著 スベトラーナ・アレクシエービッチ ジャーナリストして唯一ノーベル文学賞をもらっている女性ジャーナリストのスベトラーナ・アレクシエービッチの名著です。 チェルノブイリを技術的な面から語るのではなく、あくまでそこに居合わせた、人生を狂わされた人たちの声をこれでもかというくらいに集めてまとめた本です。 この人の取材力はスゴイです。そして、取材力とは、会って話を […]

「ミンツバーグマネージャー論」 著 ヘンリー・ミンツバーグ

「ミンツバーグマネージャー論」  著 ヘンリー・ミンツバーグ もともとミンツバーグの他の本でコミュニティシップという言葉を知って、それをもう少し詳しく知りたいなと思った本でした。 コミュニティシップとは、カリスマ的なリーダーシップでもなく、何でも平等なシチズンシップでもない、リーダーはみんなを上手く動かす力ことを一番に考えれば組織運営はうまく行くという考え方です。 この本を読んでまずわかるのは、マ […]

「世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学」 著 近内悠太

「世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学」  著 近内悠太 なるほどなぁと思う本でした。贈与とは、言葉の持つイメージよりもずっと世の中に溢れている。むしろそれを基軸として社会が回っているということがとてもよくわかりました。 特に不安定に置かれたボールの話がわかりやすかったですね。この社会というものは、不安定なところに置かれたボールのようなもので、そのバランスが崩れたら当然転がり […]

「この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた」 著 ルイス・ダートネル

「この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた」  著 ルイス・ダートネル 国立科学博物館のおみやげコーナーで以前見つけて、読みたいなと思っていた本でした。それを文庫本になっていたのを先日本屋で見つけて、即買いしたんですよね。読んでみて、予想以上に単純にとても勉強になる本だと思いました。 まるっきり文系だった自分にとって、周りのものがどうやって出来ているのか、誰かが何かを作っているからこそ、この世界 […]

「事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響の科学」 著 ターリ・シャーロット

「事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響の科学」  著 ターリ・シャーロット 本のタイトルが気になって読んだのですが、面白かったです。 確かにどんなに事実であったり、科学的に正しいことを言ったとしても、相手が絶対に納得しないって、多くの人が経験したことがあることですよね。 その人が持つ元々のバイアスを変えることって、決して不可能ではないのですが、相当難しい。 むしろ、正しいことを言われ […]

「ケーキの切れない非行少年たち」 著 宮口幸治

「ケーキの切れない非行少年たち」  著 宮口幸治 これはとてもいい本でした。ていうか、新書で読みやすいので、出来る限り多くの人に読んでもらいたいなと思わせる本でした。 認知行動療法に疑問を抱き始めた精神科医が、実際に医療少年院で働いたことで気が付き、行動したことが書かれているのですが、何かこれまで知っていた非行少年のイメージが変わってしまいました。 現在、精神科では認知行動療法というのが治療として […]

「私たちはどこまで資本主義に従うのか 市場経済には「第三の柱」が必要である」 著 ヘンリー・ミンツバーグ

「私たちはどこまで資本主義に従うのか 市場経済には「第三の柱」が必要である」  著 ヘンリー・ミンツバーグ 私自身常々ぼんやりと考えていたことをしっかりと形にしてくれたという感じの本です。 この本の大きな主張は一つ。 つまり、政府セクターと民間セクターだけで社会を考えるのではなく、第三のセクターである多元セクターが前者二つと同じくらいの力を持ち、三つのセクターでバランスを保つことによって様々な社会 […]

「尊厳の欲求と憤りの政治 IDENTITY」 著 フランシス・フクヤマ 

「尊厳の欲求と憤りの政治 IDENTITY」  著 フランシス・フクヤマ 」 「歴史の終わり」で有名なフランシス・フクヤマの最新刊です。 歴史をいかにとらえるかという意味で納得が持てる話でした。 教科書での歴史は、基本的に政治を追います。それに加えてこの十数年ばかりで歴史を経済面から追う、つまり経済が動いて歴史が動くという説明がされることが多くなっています。そんな傾向に対して、この本では、歴史はア […]