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厳選名著紹介

「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたか」 著 鈴木 忠平

「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたか」 著 鈴木 忠平 現役時代に三冠王を3度も獲得した落合博満さんの監督時代の話ですね。 作者は当時の中日ドラゴンズの番記者なのですが、落合監督本人だけでなく、選手や球団関係者などから多くの証言を拾っていき、結局落合博満とは何者であったのかということを一冊の本を通じて浮き上がらせていきます。 監督時代の落合さんの一般的な印象といえば、勝つため妥協をせず、投 […]

「スマートな悪 技術と暴力について」 著 戸谷 洋志

「スマートな悪 技術と暴力について」 著 戸谷 洋志 この話は、実はわたしが日々違和感と恐怖を感じていたことでした。 タイトルにあるように最近「スマート」という言葉がスマートフォンの普及とともに広がっていて、あたかもスマートであることが正しく、何人もスマートさを目指さなくてはいけないという風潮すらあります。 実際本作でも触れているように、政府はスマートな社会を目指すと明言すらしていますからね。 本 […]

「昭和16年の敗戦」 著 猪瀬直樹

「昭和16年の敗戦」  著 猪瀬直樹 総力戦研究所の話ですね。 総力戦研究所とは、真珠湾攻撃によってアメリカとの戦争が始まる少し前に開設された内閣総理大臣直轄の研究所のことなんですが、各官庁・陸海軍・民間などから若手エリートたちを選抜して集めて、総力戦体制に向けた教育と訓練をしていたところですね。 総力戦とは、つまり軍人だけが戦争するのではなく、民間も産業界もみな協力して戦争に望むという戦い方で、 […]

「ベリングキャット デジタルハンター、国家の嘘を暴く」 著 エリオット・ヒギンズ

「ベリングキャット デジタルハンター、国家の嘘を暴く」  著 エリオット・ヒギンズ ネットにある動画や画像などの、いわゆるオープンソースを分析することで事実を突き詰めていくNGOの話ですね。 日本ではまだあまり知られていませんが、すでにこの集団が欧米のマスメディアの在り方を変えています。 本を読んでまず驚いたのは、この本の作者であり、ベリングキャットの創設者であるエリオット・ヒギンズ自体は、そもそ […]

「『色のふしぎ』と不思議な社会」 著 川端裕人

「『色のふしぎ』と不思議な社会」 著 川端裕人 色覚の話ですね。 先天色覚異常症というのは、昔からある病名で、昔は石原式という検査を学校でやった方もいると思います。 当事者でなければ、あまり覚えておらず、詳しくなることもない話ですが、ただこの本を読むと、色覚というのは正常/異常とくっきりと分けられるものではなく、色々な見え方がする人がなだらかにおり、境界線が極めてあいまいだということがわかります。 […]

「マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か ♯Me Tooに加われない男たち」 著 杉田俊介

「マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か ♯Me Tooに加われない男たち」  著 杉田俊介 ジェンダー平等を説明するために、いわゆるマジョリティの男性に向けて書かれた本ですね。 通常、ジェンダーやフェミニズムと銘打った本は、どうしても女性が手にとって読むことが多いのですが、あえて男性に向けて新書で書いたという点で画期的な試みであると思います。 本の内容としては、ジェンダーやフェミニズムといっ […]

「AI監獄ウイグル」 著 ジェフリー・ケイン

「AI監獄ウイグル」 著 ジェフリー・ケイン 新疆ウイグル自治区が中国によってAI監視され、何万にもの人々が強制収容所に入れられたり、強制労働をされているというのは、もはや国際的に周知の事実となっていますが、この本はなぜこのようなことになってしまったのか、どういうプロセスでそうなったのかを何百人もの証言を元に詳細に追った本です。 おおよその話はニュースなどで知っていましたが、こうして詳しい話を読む […]

「銃」 著 中村文則

「銃」  著 中村文則 中村文則さんのデビュー作ですね。ザ・純文学という感じの作品です。 銃を拾った男が変わっていく様、もしくは元々あった自分の黒い部分に染まっていく様を描いているのですが、その心的描写が濃厚で迫ってきます。 物語としては、施設に育ち養父母に育てられたものの、それなりに普通に成長してきた大学生が銃を拾うことで始まります。 そして、主人公が銃に魅せられ、銃によって支配されていくという […]

「知能低下の人類史 忍び寄る現代文明クライシス」 著 エドワード・ダットン、マイケル・A・ウドリー・メニー

「知能低下の人類史 忍び寄る現代文明クライシス」  著 エドワード・ダットン、マイケル・A・ウドリー・メニー やや話が飛躍しすぎな印象もありましたが、なるほどと納得させられる部分も多く、興味深い話でした。 ようするに産業革命以降、人類の知能が低下し続けているという話を科学的根拠を踏まえて証明しているのですが、これがなかなか説得力があります。 簡単に説明すると、まず大前提の話として、産業革命以前まで […]

「中国史とつなげて学ぶ全日本史」 著 岡本隆司

「中国史とつなげて学ぶ全日本史」  著 岡本隆司 これは非常にためになる本でした。 東洋史の先生によって書かれた著作なんですけれど、東洋史の概念から日本と中国の関係をクローズアップして考えています。 そもそも東洋史そのものが中国との関わりの歴史を学ぶ学問なのですが、確かに日本中心の歴史や西洋中心の世界史よりも、日本と中国の関係を考える上では、東洋史の概念に沿って考えた方が、ずっと正確にその関係性を […]