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厳選名著紹介

「ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を支配する」 著 ジョナサン・ゴットシャル

「ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を支配する」  著 ジョナサン・ゴットシャル 非常に色々なことを考えさせられる本でした。 今の世の中を見ていると、科学的なスキルを持った人間が社会を支配しているように見えますが、本当はそうじゃなく、世界を支配しているのは、ストーリーをもって人の感情をなびかせる能力を持った人間だという話なんですが、その通りだと思いました。 ここでいう物語とは、映画やドラマ […]

「肉体のジェンダーを笑うな」 著 山崎ナオコーラ

「肉体のジェンダーを笑うな」  著 山崎ナオコーラ 「人のセックスを笑うな」で有名な山崎ナオコーラさんの「ジェンダー」をテーマにした作品ですね。 ガッツリとこの問題に対して正攻法をとっているというよりは、SFっぽいアプローチをしている作品です。 山崎さんらしくユーモアを交えながら話を進めているので、とても読みやすい作品でした。 中編と短編が入り混じったものになっているのですが、収録されているのは、 […]

「同志少女を敵を撃て」 著 逢坂 冬馬

「同志少女を敵を撃て」  著 逢坂 冬馬 テーマ性とエンターテイメント性を兼ね備えた傑作だと思います。 どっちをとっても、素晴らしいというのはなかなか難しいのですが、それを初めての作品で成し遂げているのですから只者じゃないですね、この作家さんは。 本屋大賞も納得です。 ソ連のスナイパーというと、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの「戦争は女の顔をしていない」をどうしても思い出してしまうのですが、本 […]

「すべてがFになる」 著 森 博嗣

「すべてがFになる」  著 森 博嗣 森博嗣さんがメフィスト賞を受賞してセンセーショナルにデビューした作品ですね。 多くの人がベスト10に選ぶほど人気が高い作品です。 一体何が多くの人を惹きつけるのかと思って読んだのですが、なるほど納得しました。 確かにこの物語は、ミステリーの形をとりながらも、ミステリーの枠を超えた、優れた作品だと思います。 ミステリーを読む際に重要なのはいかに読み手を引っ張れる […]

「1972年からの来訪」 著 黒川甚平

「1972年からの来訪」  著 黒川甚平 不思議な感覚のする話でした。 あさま山荘事件から二十数年後の話なんですが、その頃の学生運動をやっていた人たちが久方ぶりに集まり、そこで過去の記憶を蘇がえさせいくというストーリーです。 失踪事件を交えて、ミステリーとオカルトっぽい雰囲気が混じるような形で進んでいくのですが、そこに学生運動当時のリアリティのある話が差し込まれていくので、読んでいる人間をいい意味 […]

「ブラッドライン」 著 黒澤 伊織

「ブラッドライン」 著 黒澤 伊織 まず様々な国を横断するような形で(戦争を行っている2国は架空の国ですが)、世界の矛盾を浮かび上がらせようという試みが面白かったです。 自分のアイデンティティに近いものを書くのとは異なり、これだけ広い視点でもって話を語るというのはかなり難しいと思いますが、そこを恐れずに敢えて語っていく作者の作家としての姿勢というか、熱意に敬意を評したいですね。 こうしたチャレンジ […]

「憂鬱なペンギン」 著 アンドレイ・クルコフ

「憂鬱なペンギン」 著 アンドレイ・クルコフ 90年代に書かれたウクライナ人作家の作品ですね。 一見不思議な印象を残す話です。 個人的には、星新一さんのショートショートを長編にして、さらに不条理さをつけ加えればこんな風になるのかな……などと考えながら読む進めました。 話のキーは、売れない作家が新聞社に生きている人間の追悼記事を書くように求められ、それをこなしていくという点です。 これはなかなか面白 […]

「消失の惑星」 著 ジュリア・フィリップス

「消失の惑星」 著 ジュリア・フィリップス これは傑作でした。 社会テーマ性や文学性が高いだけじゃなく、いわゆる読ませる本でしたからね、ほとんど非の打ちどころがない作品です。 まずこの作品について触れなければいけないのは、舞台がロシアのカムチャッカ半島というところ。 名前は聞いたことがあるけれど、どういうところなのか全く想像がつかない場所ですよね、一般的に。 個人的にも、昔国語の教科書に谷川俊太郎 […]

「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたか」 著 鈴木 忠平

「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたか」 著 鈴木 忠平 現役時代に三冠王を3度も獲得した落合博満さんの監督時代の話ですね。 作者は当時の中日ドラゴンズの番記者なのですが、落合監督本人だけでなく、選手や球団関係者などから多くの証言を拾っていき、結局落合博満とは何者であったのかということを一冊の本を通じて浮き上がらせていきます。 監督時代の落合さんの一般的な印象といえば、勝つため妥協をせず、投 […]

「スマートな悪 技術と暴力について」 著 戸谷 洋志

「スマートな悪 技術と暴力について」 著 戸谷 洋志 この話は、実はわたしが日々違和感と恐怖を感じていたことでした。 タイトルにあるように最近「スマート」という言葉がスマートフォンの普及とともに広がっていて、あたかもスマートであることが正しく、何人もスマートさを目指さなくてはいけないという風潮すらあります。 実際本作でも触れているように、政府はスマートな社会を目指すと明言すらしていますからね。 本 […]