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文化

「嘘と政治 ポスト信実とアーレントの思想」 著 百木 漠

「嘘と政治 ポスト信実とアーレントの思想」  著 百木 漠 ある意味現代社会においてもっと読まれるべき本の一冊かもしれません。 フィルターバブルによって社会的分断が行き着くところまで来てしまっている世界の中で、わたしたちがどう考え、何をするべきなのかに対して、ヒントを与えてくれる作品です。 著者は、今の社会において問題なのは、政治家が嘘をつくことについて意に介さなくなり、言葉の無力化を図っているこ […]

「法治の獣」 著 春暮 康一

「法治の獣」 著 春暮 康一 「主観者」「法治の獣」「方舟は荒野をわたる」の三つの中編が収録されています。 どれも著者の豊富な生物学の知識によって書かれた作品で、この分野に興味がある人には堪らない話ですね。 徹底して生物学の観点から物語にアプローチしているので、そのこと自体がこの著者の猛烈な個性になっています。 三編とも一つの時間軸の中での話だそうですか、そのうち、最初の「主観者」と最後の「方舟は […]

「社長島耕作」 著 弘兼 憲史

「社長島耕作」 著 弘兼 憲史 ついに島耕作が社長になったわけですが、さすがに日本を代表する企業の社長ともなると話がワールドワイドになってきますね。 連載当時の世界情勢などを鑑みながら話が進んでいくのでそれはそれで面白いのですが、登場人物の意志とは関係のない、つまり一人の人間の力ではどうにもならないところで話がまとまってしまうところがあるので、ドラマツルギーとしてはどうしても課長・部長時代などと比 […]

「科学の社会史 ルネサンスから20世紀まで」 著 古川 安

「科学の社会史 ルネサンスから20世紀まで」 著 古川 安 単なる科学史ではなく、科学が社会にどう影響を与えたのか、またどのように世の中に浸透していったのかという点に重点が置かれている本です。 のっけから少し驚かされたのが、科学はそもそも独立しておらず、哲学の中の一分野であったという点。 確かに冷静に考えてみれば、自然科学ですからね。 自然を研究することが、すなわち科学であるというわけで、それが時 […]

「ドラえもん のび太と空の理想郷」

「ドラえもん のび太と空の理想郷」 この時期恒例のドラえもん映画。 今年も子どもたちと観に行きました。 脚本は、古沢良太さん。 今年の大河ドラマ「どうする家康」もそうですし、「Always 三丁目の夕日」シリーズや、「探偵はBarにいる」シリーズを書いている、今ノリに乗っている脚本家ですね。 内容は、ユートピアを求め、そこに染まることが、ときに心をなくしてしまうことに繋がっていしまうかもしれないと […]

「輝石の空」 著 N・K・ジェミシン

「輝石の空」 著 N・K・ジェミシン 「第五の季節」「オベリスクの門」に続く、「壊された地球シリーズ」の第三作目にして最終章ですね。 このシリーズの最大の特徴である圧倒的な世界観の謎をこの作品で一気に解き明かしていきます。 ここで明かされる世界観を最初にある程度考えた上で、第一作目から書いているのだと考えると、やっぱりすごい作り込み方をしていますね。 本作は、エッスンとその娘であるナッスン、そして […]

「ヴィンランド・サガ」 著 幸村誠

「ヴィンランド・サガ」 著 幸村誠 「プラテネス」で有名になった幸村誠さんの作品ですが、これは間違いなく名作ですね。 正直、「プラテネス」よりいいです。 ここ何年かで読んだマンガの中で一番いいんじゃないかな。 まずネタバレを含みますので、読んだ人のみ先を読んでいただければと思います。 さて、舞台が日本人にはなかなか馴染みのない、中世以前のヨーロッパで、しかも略奪・狼藉を働くバイキングを題材にしてい […]

「虚空の人」 著 鈴木 忠平

「虚空の人」  著 鈴木 忠平 元プロ野球選手のスター選手だった清原和博さんが覚醒剤取締法違反で逮捕されてから、執行猶予が開けるまでの様子を描いた本です。 実は、清原さんは、子どもの頃のわたしにとって、一番のスターだったんですよね。 物心ついたころから、西武ライオンズのファンだったわたしにとって、甲子園で大活躍してから西武に入団し、ライオンズの黄金期の四番打者として活躍していく清原選手の姿は、本当 […]

「手塚治虫とトキワ荘」 著 中村右介

「手塚治虫とトキワ荘」  著 中村右介 トキワ荘にまつわる話を膨大な資料をもとに調べられているルポです。 これまで漠然と知っていた話も、ああ正確にはこうだったのかとか、こういう話だったんだとか、ここがこう繋がるだという感じで、色々と知ることが出来て非常に楽しめました。 知識欲が非常に満たされましたね。 出版社の成り立ちというか、発展の仕方も時系列にわかるのでとても興味深かったです。 特にトキワ荘の […]

「部長島耕作」 著 弘兼憲史

「部長島耕作」  著 弘兼憲史 課長だった島耕作が部長に昇格したあとの話です。 シリーズの第二弾ですね。 個人的には、「課長」よりも「部長」シリーズの方が面白かったです。 たぶん、それは「課長」の時の時代背景がバブルの時代で、今のわたしたちの感覚からするとどうしても違和感を覚えてしまうんですよね。 漫画が面白くない訳じゃないんです。 漫画は面白かったんですが、どうしても読んでいてジェネレーションギ […]