「漂泊のアーレント 戦場のヨナス ふたりの二十世紀 ふたつの旅路」 著 戸谷洋志 百木漠
「漂泊のアーレント 戦場のヨナス ふたりの二十世紀 ふたつの旅路」 著 戸谷洋志 百木漠 親友同士であった政治思想家のハンナ・アーレントと哲学者のハンス・ヨナスの関係に焦点を当てた本ですね。 それぞれの研究者が共著で書いているので、内容がとても濃く、非常に興味が持てる本でした。本の構成として、それぞれの幼少期から青春期、ナチスによる迫害とドイツ脱出を経て晩年へとナラティブに書かれているので、こう […]
「漂泊のアーレント 戦場のヨナス ふたりの二十世紀 ふたつの旅路」 著 戸谷洋志 百木漠 親友同士であった政治思想家のハンナ・アーレントと哲学者のハンス・ヨナスの関係に焦点を当てた本ですね。 それぞれの研究者が共著で書いているので、内容がとても濃く、非常に興味が持てる本でした。本の構成として、それぞれの幼少期から青春期、ナチスによる迫害とドイツ脱出を経て晩年へとナラティブに書かれているので、こう […]
「ザリガニの鳴くところ」 著 ディーリア・オーエンズ 本屋大賞の翻訳部門で1位になった作品ですが、滅茶苦茶面白かったです。間違いなくここ数年で一番面白かった本ですね。自信を持って人にも薦められる本です。 帯で散々絶賛されているように、確かにこの作品はすごいです。 何がすごいかというと、ミステリーを基調としたエンターテイメント作品とも、差別をテーマにした社会派作品とも、とれるのですが、どちらとして […]
「地元を生きる 沖縄的共同性の社会学』 著 岸正彦、打越正行、上原健太郎、上間陽子 沖縄の地元の共同体を社会学的に研究したものをまとめた本なんですが、色々と考えさせられる本でした。 ある意味で、この本を一冊読めば、世界が支配的な関係で成り立っているということがよくわかる本です。 近年、日本本土に住む日本人にとっては、沖縄といえば日本有数の観光地であり、明るいイメージばかりの印象があります。 二十 […]
「推し、燃ゆ」 著 宇佐見りん タイトルや本の装丁を見て勝手に抱いていた印象と読んだ後の読後感がだいぶ違う作品だなと思いました。 論評などには、内容のぶっとんだ感じを評価している声が結構多くあったので、てっきりイメージ的には本谷有希子さんのような感じの文体の人かなと思っていたのですが、読んでみたら、今の若者の等身大の生きづらさが描かれているんだなと感じました。 一見、表題だけ見ると変わった性格の子 […]
「ブルドゥー『ディスタンクシオン』講義」 著 石井 洋二郎 フランスの社会学者のブルデューの著書として有名な「ディスタンクシオン」の解説本ですね。 ディスタンクシオンを理解する上で、肝となる概念がハビトゥスです。 ハビトゥスとは人々の日常経験において蓄積されていくが、個人にそれと自覚されない知覚・思考・行為を生み出す性向のことをいいます。 つまり、生まれ育った環境の中で、自らが意識することなく自 […]
「正欲」 著 朝井リョウ なんとも言えない気持ちにさせられた小説でした。 読後感に一般的に求められるような都合の良いカタルシスがない反面で、色々と考えさせられる話であることは確かなので、非常に優れた小説なんだと思います。 それにしても、まずはこのテーマをあえて選び、書き切った作者に敬意を表したいですね。 「多様性」という言葉からもこぼれ落ちる性欲をテーマにしている時点で一般受けしないことはわかり […]
「絶唱」 著 湊かなえ 湊かなえさんの阪神淡路大震災の記憶を軸に描かれた作品ですが、それまでの作品と印象がかなり違うのでかなり驚きました。 四本立てで最後の章がおそらく作者の実体験に基づいた私小説に近いものかと思われますが、その経験で感じたことが動機づけとなり、見事に一つの作品として仕立て上げているのですね。 震災での経験があったからこそ、この人は作家になったのかなと、この作家さんの原点を描いて […]
「ニムロッド」 著 上田岳弘 芥川賞受賞作ですね。 サーバーをメンテナンスする仕事をしながら、ビットコインを掘る仕事をするように社長に命じられたぼく(中本哲史)を主人公にした話です。 書評を見てもいい意味で芥川賞受賞らしく、称賛する声となんだかよくわからないという声に二分されています。 まあ、確かに物語に人の情感によるカタルシスを求める人には、この作品は取っつき悪いものとして映るでしょうね。 これ […]
「その名を暴け ♯Me Tooに火をつけたジャーナリストたちの闘い」 著 ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー 映画界の大物プロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインによる数々の性的暴行を暴いていったニューヨークタイムズの記者たちのドキュメンタリーですね。 ニューヨークタイムズのこの一連の話が世界中で♯Me too運動が生まれるキッカケを作ったのは記憶に新しいですね。 タイムズはこれでピ […]
「文化人類学の思考法」 編 松村圭一郎、中川理、石井美保 文化人類学という学問を知っているでしょうか? たぶん多くの人にとっては、どこかで聞いたことがあるかもしれないけど、具体的に説明するのはちょっと難しいと感じる学問でしょう。 その名の通り、文化人類学とは、人類の文化の在り方を学ぶ学問です。 これが深く知っていけばいくほど面白いのですが、特徴的なのはその独特の思考法と言えると思います。 この本は […]