「正欲」 著 朝井リョウ

「正欲」  著 朝井リョウ なんとも言えない気持ちにさせられた小説でした。 読後感に一般的に求められるような都合の良いカタルシスがない反面で、色々と考えさせられる話であることは確かなので、非常に優れた小説なんだと思います。 それにしても、まずはこのテーマをあえて選び、書き切った作者に敬意を表したいですね。 「多様性」という言葉からもこぼれ落ちる性欲をテーマにしている時点で一般受けしないことはわかり […]

もはやアニメまで……。中国に十八番を奪われ続ける日本社会の問題点

「日本人なら中国人の3分の1で済む」アニメ制作で進む”日中逆転”の深刻さ アニメ界で日本と中国の立場が逆転しているとい話ですね。 つい数年前まで日本のアニメのエンドクレジットの動画の役割の名前は、中国の方の名前ばかりでした。それは、中国人の方が人件費が安いという制作サイドのメリットがあったこと、そして中国人からしてみても給料が安くても日本アニメの技術を学びたいというメリット […]

「絶唱」 著 湊かなえ

「絶唱」  著 湊かなえ 湊かなえさんの阪神淡路大震災の記憶を軸に描かれた作品ですが、それまでの作品と印象がかなり違うのでかなり驚きました。 四本立てで最後の章がおそらく作者の実体験に基づいた私小説に近いものかと思われますが、その経験で感じたことが動機づけとなり、見事に一つの作品として仕立て上げているのですね。 震災での経験があったからこそ、この人は作家になったのかなと、この作家さんの原点を描いて […]

「探偵はbarにいる3」

「探偵はbarにいる3」 2017/日本 人気シリーズの第三弾ですね。 このシリーズを見ていつも思うのは、役者のキャラが立つことの重要性です。 話の内容としてはいつも似たような感じなのだけれど、メインの登場人物である探偵と高田のキャラが立っているから必ず面白い。 この人たちはこういう状況でこんなことを言うんだろうなと想像範囲内でも、やっぱり画面で見るとクスッと笑ってしまうんですよね。 原作を読んで […]

「ニムロッド」 著 上田岳弘

「ニムロッド」 著 上田岳弘 芥川賞受賞作ですね。 サーバーをメンテナンスする仕事をしながら、ビットコインを掘る仕事をするように社長に命じられたぼく(中本哲史)を主人公にした話です。 書評を見てもいい意味で芥川賞受賞らしく、称賛する声となんだかよくわからないという声に二分されています。 まあ、確かに物語に人の情感によるカタルシスを求める人には、この作品は取っつき悪いものとして映るでしょうね。 これ […]

「その名を暴け ♯Me Tooに火をつけたジャーナリストたちの闘い」 著 ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー

「その名を暴け ♯Me Tooに火をつけたジャーナリストたちの闘い」  著 ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー 映画界の大物プロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインによる数々の性的暴行を暴いていったニューヨークタイムズの記者たちのドキュメンタリーですね。 ニューヨークタイムズのこの一連の話が世界中で♯Me too運動が生まれるキッカケを作ったのは記憶に新しいですね。 タイムズはこれでピ […]

大阪維新型のベーシックインカムを考える

ベーシックインカムとはようするに国民全員に一定の金額を給付することをもって、一部の社会保障と一体化させるという話です。 実は欧米では70年代くらいから議論されている話で、最近も結構いろんな場所で実証実験が行われているんですよね。 その結果、皆がイメージするような、「みんな働かなくなるんじゃないか」という事態はほとんど起きないということがわかってきて、むしろこの制度を実現した方が行政の無駄が省けてい […]

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」

新劇場版の第一作ですね。 序と銘打ってあるように碇シンジが登場するところから始まり、ヤシマ作戦の終わりまでが描かれていますが、概ねここまではテレビ版とほぼ同じ流れですね。 テレビ版も最初の頃はそこまで時間に追われずに作られているのがわかるので完成度がそもそも高く、新劇場版になってもそこまで変える必要がなかったということでしょう。 久しぶりに今回序を観直してみたのですが、自分が少し歳をとったからなの […]

中国における「国民」と「人民」の違い

国民は人民の敵!「中国流民主主義」の危険性独自の定義が人権弾圧や拘束の正当化根拠に なかなか興味深い記事でした。記事の中で中国における「国民」と「人民」の違いを述べているのですが、確かにこれを知ることで現代における中国という国の本質が見えてくるような気がします。 記事によると、中国において「国民」が意味するところは、要するに中国に住む人のことです。広い意味で日本人が使う「国民」という言葉とそんなに […]

カシオ社長のパワハラにみる同族経営の問題

音声入手! 社長の「陰湿パワハラ問題」で揺れるCASIOの内実 カシオの社長のパワハラの話ですね。それにしてもパワハラ・セクハラのニュースが多いですね。急に増えたのではなく、それまで隠されていたことが明るみに出るようになったのでしょう。社会的にダメだということが認識されていくためにも、声を上げられる人は、間違っていないのでどんどんと声を上げてほしいですね。次の世代のためにも出来る限り膿を出していっ […]