コンビニの未来を考える

大阪のセブンイ―レブンのオーナーの記事がキッカケで、コンビニの24時間営業が問われていますね。

確かに利用する側からしてみると、いつでも店舗が開いているというのこの上なく便利です。またセブン―イレブン側が言っているように、暗く寝静まる地域の中でコンビニが明かるく輝いているのを見つけると安心し、地域の犯罪の防止効果にもなっているとは思います。
ただこれらの利便性は、みんなそこで働いている人がいることが前提で成り立っていることも事実です。
そこをどれだけ重要視するかで、本当に24時間営業が必要なのかどうかなのかが見えてくると思います。

http://www.sej.co.jp/csr/owner/index.html

上にあげたのは、セブン―イレブンジャパンのHPの中で、CSRに対する取り組みが説明されたページです。その中でステークホルダーの立場に立ってセブン―イレブンがオーナーに対してどのような活動をしているのかが説明されているものがあったので抜粋しました。

よく読んでみると、確かにここではセブンーイレブン側とオーナー側いかにWIN-WINな関係であることかが丁寧に説明されています。実際に、企業としてのノウハウであったり、様々なサービスを受けられることは事実なので、大抵のオーナーにとってみても、自分たちで小売店をやるよりは、はるかに利益が出ることは間違いありせん。

ただ個人的には、このページを読んでいて気になることが二つありました。
それは、セブン―イレブンが推し進める「粗利分配方式」ついての説明があまりされていないことと、人のマネジメント(つまりは、人の採用や教育)が基本的に店舗に丸投げされていることの二点です。

「粗利分配方式」というのは、ようするに一般的には、「売上げ」から「原価」を引いたものが粗利であり、これをセブンイレブン―本部と店側とで決められた割合によって山分けしようという話です。ただこれがセブン―イレブンの場合、売れなかった弁当などの廃棄分や万引き分などが原価に含まれないという特殊性があります。つまり、その分は単純にオーナーの負担になってしまうわけですね。
こうなると、店としてはとにかく商品を売り切りたいわけですから、店舗によってはクリスマスケーキや恵方巻など余った分をバイトに買い取らせたり……などという話になってしまうわけです。しかも、例えばクリスマスケーキなど、ある程度売れることが見込める分だけを仕入れることが出来るのなら、まだいいのですがそこは本部から厳しいノルマか課され、前年もよりも多くさばくことを毎年要求されるわけです。これなら、どんなに頑張って売り切ったとしても、次の年にはさらに「売れ」という話になってしまうわけですから、現場としてはたまったもんじゃない話になりますよね。

当然そんな風なノルマに巻き込まれるのなら、バイトは辞めていきます。
そして、ここで、二つ目の気になる点である「人のマネジメント」が現場に一任されていることが問題となって現れ出てきます。つまり、極端なことを言えば、本部主導で店舗を追い込んでおきながら、そこで人が辞めようが、足りなくなろうが、それはそっちの責任だという話になっているのです。もちろん、どうしょうもないときに、オーナーをヘルプする制度はないことはないのですが、大阪の話だと、妻が亡くなった後の数日だけで、後はスルーされているというわけですから、これが本当だとするとその制度はあまり機能していないといっても過言じゃないでしょう。
もちろんコンビニには、オーナーが経営する店舗のほかに、直営店やフランチャイズ店などの店舗もありますが、ただそれも「オーナー」が「社員」に代わるだけの話で、現場の過酷さは一緒です。

本部主導で巧みにノルマを課しておきながら廃棄分はそちらの責任で、その結果人が足りなくなってもそんなのは知らないじゃ、ちょっと酷過ぎますよね。
これまではいくら人が辞めても、すぐに人を入れ替わりで採用が出来ていたから、この問題が大きくならずにこれたのでしょう。でも、世の中は少子高齢化社会に突入し、人手不足が顕著になってきています。いくらそれを外国人で穴埋めしようとしても限度があるわけで、すでにこうしたビジネスモデルが時代に合わなくなってきていることは間違いないように思われます。

24時間コンビニが開いているのは便利です。でも、それが当たり前であり、そこで働いている人のことは見えないことにするという社会はどうなんでしょうか? 24時間開いていることで、利益が出るからそうする。企業の論理としてはわかります。でも、それによって別の部分で不具合が出るのなら、やはりそこは検討し直すべき話であるはずです。
セブン―イレブンは、雑誌社が行うCSRランキングなどでは、常にトップ20に入ってくるくらい優秀な企業です。でもその半面で上記の問題なのでブラック企業大賞を受賞するなど二面性がある企業だとも言えます。力があり、また影響力がある企業だけに、こういう問題を拭えないというのは残念です。

おそらくこれからのコンビニは、外国人の店員がより増えていき、また中国で広く実用化されているように無人のコンビニなども出てきて、その様相はすごいスピードで変わっていくと思います。
わたしたち消費者としては、自分たちの利便性だけに目を向けず、本当に何が必要で、また利便性によって気づかぬうちに何を失っていくのかを一人一人考えるべきです。わたしたちの意識が変わることで、企業もその考えたや戦略を変えていかなければいけなくなるんですからね。
社会を変えるのは、企業ではなく、わたしたち一人一人の意識の持ちようだということは忘れてはいけませんね。