過去に三度もあった人口減少期に、わたしたちは何を学べるのか。

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人口減少に苦しむ日本社会ですが、歴史を振り返ってみると、今回以外にも日本の人口減少期は過去3回もあったそうです。最初は縄文時代の中後期。次に、平安後期から鎌倉時代にかけて。そして、江戸中期から後期にかけてだそうです。

江戸中期から後期にかけての人口減少の原因は、色々要因はありますが、いわゆる「人口支持力の限界点」に到達し、社会構造的に出産力が弱まったと考えられるようです。そして、面白いのが、この江戸中期から後期にかけての状況が今の状況と非常に似ているということです。
実は、イメージ的に今の人は、昔は皆結婚が当たり前で、家制度に縛られ、また男が外で働き、女が家を守る、みたいな感覚に思っているんですが、実はまるで違うんですよね。
そもそも、皆が結婚が当たり前になったのは、明治以後の話で、また武家や貴族などの一部の上流階級を除けば、家にそれ程縛られることもなく離婚も多いですし、そもそも女も男と同様に、ていうか農家や商家のことを考えれば、むしろ女の方が働いていたりします。
まあ、意外と自由で、多様性を持つ時代ではあったんですよね。

しかしそうなってくると、じゃあ、どうやってその人口減少期を乗り越え、また人口が増えてきたのかという話になります。もちろん、それには色々と要素があり、これだという一つの答えはありません。ただ間違いなく言えるのは、明治期になり、富国強兵がスローガンとして掲げられる中で、どんどんと家族制度がきつくなっていき、それに伴って結婚や多産が奨励されていったことが、人口減少から人口増加への転換点であったということでしょう。
さすがに、同じような感じで人口を増やすわけには行きませんね。
大事なのは、多様性であり、皆が自由に自分らしく生きられる社会をいかに作れるかです。無理に国民に敷いて、お国のためだと人口を増やしたところで、おかしな方向に社会が向かってしまうのは歴史の事実でありますし、多くの不幸せを生むだけです。

魔法のように人口が急に増えるというカンフル剤はありません。じゃあ、わたしたちが何が出来るかと言えば、人口が減っていく中で、人口が減った社会を自分たちが土受け入れ、その中でも心地の良い、平和な社会を作れるのか考えることだけです。アメリカのように大量の移民を受け入れたくないのなら、今現在、そうやって、ある意味の開き直りの中で人口減少を受け入れていくしかないんですよね。

江戸時代の人々が、明治期になるまでどうやって人口停滞期を過ごしてきたのか。確かに、ここには人口が減っていく中で、自分たちの価値観をどうやって見失わずに生きていけるのか、今の人たちにとってもヒントがあります。
歴史は本当に、ときに色々なことを教えてくれるんですよね。肝心なのは、わたしたちがそこに目を向けられるのか、そして素直に耳を傾けられるかです。
人間というものはなかなか愚かで、過去のことはすぐに忘れてしまいがちで、なかったことにしてしまいがちなのですがね。