草津町に爆破予告って、いくら頭に来てもこれはダメですよ

群馬県草津町に爆破予告 リコールに不満か

草津町町長による性被害を告白した町議のリコール成立に対して、リコールに反対していると思われる人から爆破予告があったそうです。

これはダメですよ。たぶん爆破予告をすることで、草津温泉に行く人を減らして町に打撃を与えたかったんでしょうけれど、暴力的な行為に対して、暴力的な行為で対抗してはいけません。むしろそれをやってしまうと、相手の暴力的なやり方を肯定しかねないことになるので逆効果なんですよ。
そんなことをしてしまえば相手の思う壷になってしまうのは当然で、暴力的な行為に反対している人の方こそが頭のおかしい暴力的な人間なんだと、ここぞとばかりにレッテル貼りをして印象操作を広げていきます。
実際、草津町はホームページにすぐに載せていますしね。まあ、町としては万が一の対応も含めてだと思いますが。

とにかく今回の話は、性被害のあるなし以前に、逮捕をされたわけでもなく、病気等で職務をこなせなくなったわけでもない人を、自分たちと違う意見だからといって議会ぐるみで住民投票でリコールにしてしまっているのだから、民主主義国家としてはありえない権力の濫用です。
手続きをちゃんと踏んでいるから問題ないとか、リコールされた町議が説明責任を果たしていないとかヤフコメ等で書かれていますが、そもそも事務的な手続きを踏めば何をやってもいいという話ではなく、また説明責任を果たしていないからリコールていうなら、この国の議員の多くがリコールの対象になりますよ。今の総理も前の総理も大事なことに対してほとんど説明責任なんて果たしていないんですから。

草津の町のことは草津の人がよく知っている。だから住民投票もその結果も正しい。部外者は口を出すな。

というのは、暴論に過ぎません。何度も言いますが、リコールされた町議の性被害が本当かどうかはわかりません。町議がウゾばかりをつく人がどうかもわかりません。わからないからこそ、住民投票という解決のやり方は間違っています。リコールをするという制度は、権力がある人間が気に食わない人間を追い出すための制度ではないんです。

そしてこんな悪しき前例を作られて、こんなやり方が全国や国政に波及すれば、その政治体制は民主主義とは名ばかりの転覆不可能な支配に過ぎなくなってしまいます。だから、この草津町の問題は草津町だけの問題ではないんですよ。

ただ最初にも言いましたが、暴力的なやり方に暴力的なやり方で返しては絶対にいけません。もしもあなたがこの問題に危機を感じているなら、どんなに時間がかかろうと、町のやり方が民主主義を逸脱していると言い続けるしかありません。そして町に正常な民主主義が戻るまで草津温泉には観光に行かないと周りに表明するしかないんです。そしてそれを一時的なものとせず、抱き続けることが大事なんですよね。

ある意味で、町長は今回馬脚を現したともいえます。性被害があろうがなかろうが、この人物が民主主義とは程遠い、極めて支配的で強引な人間であることを自分で示してしまったんですからね。

バイアスに囚われず、そもそも民主主義とは何なのかを考えてみましょう。

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