「女はうそつき」は本当か?

「虚偽の強姦」多発の真相…「女は嘘つき」はなぜ“定説”となったのか

この記事はとても興味深い記事でした。
「女はうそつき」
先日杉田水脈議員が根拠もなくそういって炎上しましたね。
また草津町の町議リコール問題でも、そもそも女性町議が「嘘をついている」ことを前提にリコールを進めました。

なぜ彼らはそもそも「女がうそをつく」ことをまるで当たり前のようにして言うのか。
その前時代的な発言の根拠をこの記事の著者は歴史的に紐解いています。
そして辿りついたのが、イタリアの犯罪人類学者チェーザレ・ロンブローゾ。ロンブローゾが、1893年に出版した『女性犯罪者 売春婦と一般の女性』で、「女性にとって嘘をつくことは生理的な現象で、特に月経時にはそれが顕著である」と説いていたんですね。
この考えが明治時代の女子教区の権威(もちろん男性)によって広められて定説になったそうです。
これが1920年代になると、大正デモクラシーや猟奇犯罪の多発を背景に、活躍するようになった犯罪学者たちがロンブローゾの主張を多用し、「女は嘘つき」説を繰り返し唱えた。なかでも特に”女は強姦されてもいないのに、されたと嘘をつく”ということを強調したんだそうです。

何か酷い話ですね。しかし、よくもまあ、これだけ科学的根拠もない主観的な説が当たり前の話として放置されてきましたよね。
そして、このときの定説がもはやネットで何でも情報が手に入る時代でも一部の人たちの常識になっているのだから開いた口も塞がりません。
ていうか、そうであったほうが都合がいい人たちがそうした定説を利用しているだけなんでしょうけど。

そういえば、性犯罪に関する刑法も明治時代に制定されたものです。数年前に少し改正されましたが、未だに「暴行脅迫要件」も必要なままです。
つまり根本的なところで、根拠のない定説が広がっていた時代のモノを法律として運用しているんですよね。

ちなみに草津町の女性町議の性被害の訴えに対しては、町長が裁判を起こしているのに対し、女性町議が訴えていないので、女性町議が嘘をついていると、町長を支持している人たちは言っています。
でも、よく考えてください。明治時代の古臭い刑法の中で、たとえ女性町議が訴えたとしてもそもそも勝てる訳がないんです。ほとんどの人が知らないかもしれないけど、日本のこの偏見で作られた古臭い法律では、ハッキリとした「暴行」や「脅迫」が目に見える形で証拠として残っていなければ、犯人が罪になるどころか、起訴されることすらもほとんどないんです。ようするにほとんどのケースの場合、加害者が「やっていない」と言ってしまえば、無罪なってしまうような法律を未だに運用しているんですよね。
町長側はそれを知っている。つまり裁判をしたところで女性町議が勝てっこないことを知っているから強気に出ているんです。

1920年代の当時の新聞はたびたび「虚偽の強姦」事件について報道しているそうです。「強姦」被害に遭って訴え出ても、証拠(「処女膜の損傷」「精液の付着や性病への感染」「暴行の痕跡」など)がないために「強姦」とは認められず、「虚偽」として退けられることが多かったというのが真相であるのだそうですが、驚くほどに今と状況が何ら変わっていないんですよね。