「水素戦争」は日本がけん引役?2050年までに1,100兆円投資の水素市場最前線
現在次世代のエネルギーとして期待されている水素。その理由は、水素を燃焼した時に二酸化炭素は排出されないからです。しかしそもそもその水素を水から分解する際に、一般的には化石燃料で発電する必要があるので結局はその部分で二酸化炭素を排出してしまいます。
水素=環境に良い。ではなく、つまりはエネルギーとして使われる水素がどうやって作られるかが問題になってくるんですね。
そこで面白いのが専門家が議論する際には水素について、それができた過程によって色分けがあるという話。
化石燃料によって生成された水素は、ブラック水素もしくは、グレー水素。
これに対して再生エネルギーによって生成された水素は、グリーン水素。
そして化石燃料を使いつつも二酸化炭素貯留技術を使って生成された水素をブルー水素と呼び、原子力発電で生成された水素をパープルもしくはピンク水素と呼ばれているそうです。
同じ水素にも生成の仕方によってこうした明確な識別があるとは知りませんでした。
確かに再生エネルギーの弱点は蓄電があまり出来ないことです。でも、再生エネルギーでグリーン水素を作れば、それをアンモニアなどに生成して貯めることが出来ます。そして水素のものやアンモニアを燃焼させれば、結果的に再生エネルギーを蓄電してエネルギーに変えることが可能なのです。
問題はコストです。技術的に可能でも水素経由の発電はそれだけコストがかかってしまいますしまた水素カーを開発してもインフラ整備にコストがかかってしまうんですよね。
コストがかからないように、さらなる技術開発に期待したいところですが、残念ながらまだまだそれまでには時間がかかりそうです。
そうなると、水素で作られたコストの高いエネルギーをいかに社会が受け入れられるか、になると思います。
そこで個人的にぜひ試してもらいたいと思うのが、せっかく色分けされている呼び名をもっと社会に認識してもらうべきフル活用してほしいということです。
例えば今町で売られている商品にはエシカル商品と呼ばれる倫理的、つまりは環境などの持続可能性に配慮した商品が売られています。
消費者の中には多少値が張ってもそれを買う人はたくさんいますし、それだけでなく各種認証ラベルの存在が少しずつ浸透していってそれが購買の理由になりつつあります。
これと同じで再生可能エネルギーで作られた水素については、大々的にグリーン水素と打ち出して利用を勧めれば、コストが多少上がってもそれを買う人というのは自然と増えていくと思うんですよね。
ウチの電力は、グリーン水素X %です!
と電力会社が謳えば、意識の高い人は値段が少し高くてもその電力会社になびくと思うんですよね。
またそれほど環境意識が高くない人も少なくとも水素にも色々と生成過程によって違いがあり、グリーン水素と呼ばれるものがよく、それを多く使っている電力会社や自動車関連の会社ほどちゃんとしているという認識は広まるでしょう。
当然ESG投資の視点からも評価が高くなるので、グリーン水素を使えば使うほど投資が集まり、コスト低下のための開発が早まる可能性が高くなります。
グリーン水素が既存のブラック/グレー水素に対し競争力を持つには、生産コストが現在比で60〜90%下がる必要があるそうです。
早くて2030年達成されるかもしれないという話ですが、世間にグリーン水素という言葉が広まれば、もしかしたらもっと早めることが出来るかもしれせんね。
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