今ワークマンが面白い。社員を活かす組織運営方法

ワークマン土屋哲雄専務が、社員の平均年収を700万円に上げた理由

コロナ禍においてアパレルメーカーが軒並み売り上げを下げましたが、絶好調だったワークマンはどこ吹く風だったようですね。

元々作業着を専門に製造・販売していた会社ですが、その実用性の高さと汎用性がウケて売り上げを伸ばしていたんですよね。

楽天市場で出品者の送料負担問題が世間を騒がせた際に、いち早く楽天市場から撤退したことなどでも話題になっていました。

楽天市場に頼らなくても、すでに自社のサイトだけで顧客を呼び込めるくらいにまでその時点で大きくなっていたんですよね。

そして記事ではワークマンの組織のあり方や従業員の扱い方が書かれているのですが、これが面白いです。読んでみると、作業着という独自のコンテンツを持っていたからだけでワークマンが大きくなったのではなく、ワークマンそのものの組織の動かし方や従業員の活用の仕方が会社の発展に寄与したことがよくわかります。

それは、ひと言で言えば、トップダウンではなく、ボトムアップの徹底した実践ですね。

日本の会社の場合、その組織の多くが縦社会型であり、命令は上から下への一方通行で、下からの意見は重要なものであればあるほど取り入れられることはほとんどありません。

特にワークマンのような実店舗を多く持つ会社ほどそれは顕著で、ブランド維持や効率性、費用対効果を重視するあまり、誰がやっても同じ成果が得られるよう上から下へと管理がしやすい体制がガッチリと作られてしまいます。

こうした場合のメリットとしては、管理のしやすさや人材育成をそこまで考えなくても良い点、それに商品を安く大量に仕入れ、ノルマとして各店舗に売らせるというような、仕入れ値の抑制や流通販路の単純化、それに会社としての大々的なキャンペーンのしやすさなどがあげられるでしょう。経営者としてもこっちが考えていて、お前たちは言われた通りに動いているだけだからと、従業員の賃金を抑えることが出来ます。

でもそうしたトップダウン型のそうしたやり方が当たり前のこととなってくると当然その弊害が出てきます。

一番は自分たちにほとんど裁量のない従業員のモチベーションが大きく低下することです。モチベーションが下がれば、従業員たちは自然と自分たちの頭で考えることを止めてしまいます。そうなれば、そうした土壌から人材が育たなくなることは自明です。

それどころか従業員は常に働かされているという認識を持つようになり、人によっては積極的に何かをしたところで意味がないと割り切ってサボり始めるし、会社に対する怨嗟の声を上げる人も少なからず出て来るでしょう。

ワークマンは、こうしたやり方に疑問を抱き、経営者が人材を使い倒すことよりも、人材を活かすことで、会社にとってプラスになるのだということを確信したんですね。

実際ワークマンではExcel(エクセル)によって現場の数値やデータを分析して全社員が平等に議論できるように促して、取り組みの本質や社員の自発性を引き出すマネジメント方法を掘り下げているそうです。つまり現場でしかわからない肌感覚や傾向を数値によって目に見える形でみなで認識をし、それを検証して仮説を立てたりして本部に意見を挙げるという流れが当たり前のこととして行われているそうです。

自分の意見が通り、会社の方針が変わるかもしれないという経験は、モチベーションをアップさせて当然ですが社員を成長させますし、それは間違いなく会社自体が活発化しますよね。

しかもワークマンの場合は、そんな従業員に対して給料をキチンをアップさせてあげている。
専門家の研究で、仕事においてコントロール感があることがそこにいる従業員の幸福感をアップさせるというものがありましたが、従業員に考えさせるという裁量を与え、しかもそれに見合ったお金もちゃんと払うとなれば、みんなやる気出ますよね。そして、やる気がある社員ばかりの会社の業績が上がるのはもはや考えなくてもわかることです。

正直ワークマンがやっているボトムアップというのは、今の時代、普通に考えれば、当たり前のことだと思います。
ただ悲しいかな今の日本において、その当たり前のことが出来ている会社が少ない。ていうか、ほとんどない。
だから、ワークマンがとても目立っているし、それを見た優秀な人がまたワークマンに集まるんだと思います。

はっきり言って、これだけ多様性やらSDGsやらと叫ばれている中で、縦社会に固執するのはもはや自殺行為ではないでしょうか。
そしてワークマンのようにボトムアップをすることで、好循環を作り出すというのは、早くやったもの勝ちだと思います。それだけ早く転換すればするほど、若くて優秀な子が集まりやすくなるわけですし、そういう意味での知名度を上げられますからね。

ワークマンがやっているようなことは、特別なことではありません。
だからそれをうまく模倣して、早くトップダウンからボトムアップに切り替わってくれる会社がどんどんと増えてくれることを願いたいですね。

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