もはやアニメまで……。中国に十八番を奪われ続ける日本社会の問題点

「日本人なら中国人の3分の1で済む」アニメ制作で進む”日中逆転”の深刻さ

アニメ界で日本と中国の立場が逆転しているとい話ですね。

つい数年前まで日本のアニメのエンドクレジットの動画の役割の名前は、中国の方の名前ばかりでした。それは、中国人の方が人件費が安いという制作サイドのメリットがあったこと、そして中国人からしてみても給料が安くても日本アニメの技術を学びたいというメリットがあったからです。つまり、双方の思惑が合致していたわけですね。

でも日本の給料がここ十数年、ほとんど変わらない中で中国の経済があっという間に肥大化してしまった。すると、もはやアニメの世界でも安い中国人を日本の会社が下請けとして雇うのではなく、もはや中国の会社が安い日本人を下請けとして雇う時代になってきているのですよね。

ついに日本が大きなアドバンテージを持っていたはずのアニメの世界までもがそんな感じになってしまったのか……という印象ですね。確かに時勢というものもあるでしょう。今の中国の勢いに対抗するには国力の差がありすぎてなかなか難しいです。でも、本当に中国の勢いだけがすごかったのかというと、決してそれだけとは言い切れないんですよね。ていうか、個人的にはかなりの割合で日本が自爆したと考えた方が腑に落ちます。ようするに、日本は人に対して投資をしなさ過ぎたんですよね……。

まあ、家電や半導体と同じことがアニメの世界でも起きているだけのことなんですけど、利益を出して会社をゾンビのように生き残させる手段として、主に就職氷河期を作ることによってなされた人減らしと、とにかく給料を上げないという両輪がとられてきたことにより、多くの有能な人材が国外に流出し、しかも将来を担うはずの若者が育てられなかったんですよね。

それは十年、二十年のスパンで見れば、当たり前のようにこのような事態になりますよね。しかもアニメ界の場合は、ここに放送局や広告代理店、それに映画会社が利益の多くを持って行ってしまうという悪習が加わります。つまり、それを実際に作っている人たちの搾取の上で、その上に乗っかっている人たちがリスクを取らずに潤うというわかりやすい構造であるがゆえに、制作をする人たちが疲弊していき、そしてそうした人たちが技術ごと中国に向かっているというわけなんです。人や社会そのものではなく、上位の会社ばかりが守られるシステムになっているから、産業そのものの成長が止まってしまったんです。

ハッキリ言って中抜きをする人たちなんて、それなりに頭が働く人なら誰がやってもそんなに変わらないんですよ。大事なのは、無から有を作り出せる人たちで、彼らに正当な報酬と立ち位置を与えていかない限りは、今後も現在のような状況が加速度的に進んでいくんですよね。

とにかく今の日本は、人に対する投資と教育が足らなすぎます。すべての中高年が悪いとは言いませんが、少なくとも高収入にもかかわらず逃げ切ることばかりの人には入れ替わってもらう必要がありますよ。

立ち位置で報酬が決まるのではなく、やったことに対して評価される仕組みにしないと、社会全体が先細っていくことは目に見えています。

特にアニメなんか日本が世界をリードしてきた分野だけにもったいないです。今あるリソースをうまく使いつつも、業界そのものが二十年も三十年も活力を持ち続けられるように構造そのものをシフトしてほしいです。

今すぐ適正に人が育ち、適正に人が評価される仕組みにしないと、どの業界も本当に終わってしまいますよ。