なぜ子どもたちはYouTuberになりたがるのか?

YouTuber目指す大半の子が知らない厳しい現実不登校YouTuber・ゆたぼんの明日はどっちだ

ここ数年で、子どもたちの憧れの職業に瞬く間にして駆け上がったYouTuberですが、それでいかに金銭を得るには大変かということが語られた記事でした。
まあ、一見自由で楽しそうに見えるけれど、収益化するには相応の努力が必要で、またそれを維持するためにはより過激な方向に向かったりしなければいけないので、これまた大変だという話ですね。
大人になれば、何となく想像がつきますが、なかなか子どもには難しいということなのでしょう。

大抵の子どもは単純にYouTuberが楽して儲けられて、その上に目立ってみんなにチヤホヤされるかいいと思っているのだと思いますが、一方で個人的にはこれは、子どもに対しる大人の社会への絶望感であり、反発心からくる願いのような気がしています。
正直言って、たぶん今の子どもにとって、大人がまったく楽しそうに仕事をしているように見えないんでしょうね。
もちろん仕事は遊びじゃないので、楽しく見えなくてもいいのかもしれませんが、それにしてもほとんどの大人がただ惰性的に目の前を生きるためだけに働いているように見えるのが怖いんだと思います。
しかも、今の時代は子育て世代に多大な負担がかかっているので、夫婦仲が悪くなっていたり、イライラしていたり、そういう大人の姿を目撃することもしょっちゅうであるでしょうし。大人になること自体に現実的な目的や充実感が感じられず、一体何のために大人になっているのか、苦労するために大人になっているんじゃないかっていう閉塞感が物凄くあると思うんですよね。

そんな中でYouTubeを見ると、何か非現実的な大人の世界という感じがする。
あの空間が現実からの逃げ道であり、そこに辿りつければ、周りの大人みたいに大人になってもつまらない顔をしなくてもいいんだという気持ちがあるのかもしれません。
もちろん大人からしてみれば、ふざけるなという話なのでしょうが、実際に、今この現実の社会が子どもたちに夢や希望をたくさん与えられている社会なのかと問われると、残念ながら胸を張って「そうだ」とは言えません。

少子高齢化がどんどんと進み、国の借金は膨れ上がり、日本は完全にダウンサイジングに向かっており、このまま行けば、これからの子どもはいわば、敗戦処理のような役割を担わされるのは自明です。
しかも社会が変わる兆しがあるのかと言えば、それは全く見られず、女子にとってはまずジェンダーギャップが恐ろしく激しい社会ですし、男子にとっても、未だに昭和の縦社会の価値観が根づいているヒエラルキーの世界です。これに、経済格差が今度どんどんと進み、それによって治安も悪くなっていくことでしょう。

自分に特別な才能がなかったり、特段と勉強が出来たりするのでなければ、今の子どもたちがぼんやりと「YouTuberになりたい」と思ってしまうことを責められません。
どんなにそれが大変だと教えられても、それでもやっぱり楽しそうに働いているように見える職業がいいなと思えてしまうのです。
そしてそんな子どもたちの心をさらに加速化させてしまうのは、圧倒的な情報量の多さです。
活躍するに人間の目につく情報のほとんどは、目立っている人たちばかりです。
つまり目立って人目に触れるような人は崇められ、人として一段も二段も上にランクされて、そうした価値判断を基準に子どもたちの中でも世間一般の大人に対する格付けが行われているという事実です。
アニメを見ても、何かの特殊能力やアイドルなどのなる人が常に物語の中心であり、そのほかの地味ながらも社会を動かしている人の価値はそれほど語られることはありません。
つまりは、才能があり目立つことが出来る人間になれれば、自分は格上の人間になれるのだから、生活も豊かになるし、チヤホヤもされる。一方で、地味に社会を動かすような人になっても、浮かばれないだけの存在になるので損だ。という想いが潜在的に植え付けられているんですよね。
その上に、子どもの社会のなかにも、親の格差がそのまま投影されますから、子どもは子どもでヒエラルキーを作っていく。
ヒエラルキーの中で苦しむ子どもたちは、自然と承認要求が強くなり、誰からも認められる人間になりたいと切望する。
まあ、この辺りは昔からあった話ではありますが、そうした連鎖が子どもたちの頭の中でグルグルと起こってしまっているというわけですね。
そして、YouTuberという仕事が悪いわけではないのですが、どうしても目に触れることが多い分、子どもたちにとっては安易に憧れる対象になってしまうのでしょう。
そういう意味では、昔男の子たちが野球選手とかサッカー選手に憧れていたのと大差ないとは思うのですが、どうしても親世代からすると、親が子どもの時代になかった職業であった分、子どもにそう言われると抵抗感を抱いてしまうのかもしれません。

親としては、子どもの意志を尊重しつつも、目立つ仕事だけが偉いわけではないこと、社会を動かすということがいかに大事で、それを担う人々こそが尊いのだということを教えていくしかありません。
そして、社会の屋台骨を支えている人たちに対して、敬意とそれに見合った報酬を与えていくべきだということを認識していく必要があると思います。
今回のコロナ禍においても、地味であるエッセンシャルワーカーほど虐げられているのだという仕組みが露わになりましたからね。
大人の社会がそうやって格差を築くからこそ、それを見た子供もその価値観をそのまま真似て、自分たちなりに解釈をし、答えを出してしまうのです。
子どもは、大人の鏡であるということを、まず大人が認識をし、自分たちの態度ややり方を改めていく必要がありますね。

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