日本人が出稼ぎに行く未来を止めるために、今すぐわたしたちがするべきこと

平均賃金は韓国以下…「貧しい国」になった日本が生き残るための“新常識”

日本の賃金の平均が韓国よりも下になり、もはや将来的に多くの日本人が中国や東南アジアに出稼ぎにいくことが確実だという記事でした。
悲観するのではなく、現実を受け入れてそうした中で生き延びる術を見つけよという話です。
個人的にはこの記事こそ、ちょっと悲観しすぎているのではないかと思います。
諦める前に、まずこの国の現状を鑑みて、今あるリソースをいかに活用し、国民に活力を取り戻す方法を考える方が先じゃないかと思いました。

まずこの記事も含めて最近やたらと色々なところで煽られているのは、一人当たりのGDPを比較して日本は韓国にも抜かれたという話です。
確かにこの数十年、日本人の賃金が変わらず、ほかの国のそれが上がっているのは事実です。
ただ日本の一人当たりのGDPが下がっているのには、単純に一人ひとりの生産力の低下のせいだけではなく、日本がほかの国に先駆けて超高齢化社会に突入しているからとも言えます。
単純にリタイヤしている老人が多ければ、その平均値は下がります。
日本の一人当たりのGDPを引き下げている多くの理由がこれであり、この問題は韓国や中国などもこれから起きてくる話です。

ただだからといって安心していいという話ではありません。
それは日本人の生産力が低下して、日本の企業の競争力が低下していることは事実だからです。
この状況をどうすればいいのかを考えるには、まずなぜこのような状況になったのかを考える必要があります。
日本の生産力が低下した理由としてあげられるのは、既存のやり方に固執し、IT化が立ち遅れたからです。
ではなぜそうなったかというと、それらを決めていた人たちが皆、昭和の成功体験を忘れられない老人たちだったからです。
ポイントは間違いなく就職氷河期世代を作ってしまったという点です。
本来なら企業のIT化を進めるのはこの世代のはずでした。
どの国も年齢的にIT化の中心になっているのはこの世代です。
でも日本は既得権益を持つ上の世代が自分たちを守るために、徹底的に企業活動に生じていた不利益をこの世代を、それまでのように彼らを引き上げないことによって転嫁し、ごまかした。
せっかく人数的にも多く、日本のストロングポイントにもなったはずなのに、自らそれをドブに捨てたのです。
あの当時、大企業に就職が出来た就職氷河期世代はごくわずかです。
下の世代からの追い上げがほとんどなかった団塊世代とバブル期世代は、自分たちのやり方を通すことに固執しました。
そして、氷河期世代の非正規雇用を広めて人件費を削ることでどうにか利益を出してきたのです。
その結果がIT化の遅れであり、生産性の低下なんですよね。
しかも氷河期世代に十分な賃金を与えなかったために結婚をしたくても出来なかった若者を増やし、少子高齢化をさらに早めたのです。
いかに政財界が間違った政策をとってきたかというのは明らかですね。

でも今更時計の針はもう戻せません。
今となっては大事なのは、これからどうするかです。
政府は今になって氷河期世代を少しでもどうにかしようという政策を打ち出そうとしています。
確かに彼らに救いの手を差し伸べることは大事でしょうし、出来る限りのことはやるべきです。
でもはっきり言ってすでに時期を逸し過ぎています。
氷河期世代の大半がもう三十代後半から四十代後半です。
もはややり直しがそう簡単に出来る年齢ではなくなっているんですよね。

しかも政府の氷河期世代救済策は、就職出来なかった彼らを介護等の人手不足に喘ぐ業界に送り込もうというものです。
介護がダメとは言いませんが、それはいくらなんでも都合が良すぎる話ではないでしょうか。
こうした人手不足の業界の担い手を氷河期世代にさせるというのなら、なぜその業界が人手不足になっているのかをまず考えるべきです。
そこには低賃金や劣悪な職場環境などの理由が必ずあります。
彼らをそこに送り込もうというのなら、同時にそれらの問題も解消出来るような政策をするべきなのです。

まあ、そうはいっても、正直今から氷河期世代の個々人を何とかしようとしてもどうにもならないことであることは確かです。
では、そうしたことを認めた上で、わたしたちが未来にためにしなくてはならないこととは、何でしょうか。

それはまずあのときの氷河期世代を作ったという社会のやり方が間違いであったということ自体を社会通念として認めることです。
何が間違いであったということをみんなが理解しない限りは、まずは何も変わりません。
それは氷河期世代を骨抜きにしてみずからの既得権益を守った上の世代が未だに社会を動かすキャスティングボードを握っているからです。
人間は誰であれ、自己肯定に走ります。
氷河期世代から上の世代が、自分たちが氷河期世代に負債を押しつけたことなど認められるはずはありません。
でも、そうやって反省がない限りは、変わるべくものは変わらなく、いつまでも同じことを繰り返していくだけなのです。

まずは間違いを犯したことを認めましょう。
それを内外に表明しましょう。
そして間違いを犯した人たちには潔く退場してもらうか、次の世代のための補佐役に回ってもらいましょう。
そして若い世代が生産性を高められるような環境を整えるのです。

おそらく日本を立て直していくのは、氷河期世代よりも若い世代でしょう。
でも氷河期世代の人たち(わたしもそうですが)はただ犬死をするのではないのです。
氷河期世代は、上の世代に引導を渡すという大事な役割があるのです。
これは被害を受けた氷河期世代にしか出来ない役割です。
そして上の世代と同じことをするのではなく、素直に若者たちにバトンを託すことで、日本は若返り、国に活力が戻ってきます。

このまま老いていく一方の日本で過去に反省もせずに現実から目を逸らせば、待っているのは外国に食われていくという未来です。
そうなる前に声を上げましょう。
上に立つ誰かが利する古いやり方に固執するのではなく、若い人や女性がちゃんと意見を言える社会を作るのです。
誰かが何かを言うのを待つのではなく、まずは身近な誰かに今のやり方が本当に正しいのかどうか、その疑問を話してみる。
一人ひとりが動き出さない限りは何も変わらないのですから。

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