岸田首相の「新しい資本主義」のさらなる具体案を考える。

「賃上げはコストではない」岸田文雄首相が“新しい資本主義のグランドデザイン”を初公開《中国とどう対峙する?》

岸田さんの「新しい資本主義」の話ですね。
基本的に、個人的には「新しい資本主義」の方向性はいいと思っています。
市場や競争の原理のままに任せるのではなく、人への投資を重点的にやっていくという考え方も間違えていないでしょう。
バブル崩壊後の30年、ずっと人を削ることで日本の企業はどうにか利益を出してやってきましたが、これこそが日本経済を停滞させた大きな理由ですからね。
問題は、その具体策です。

現状、岸田さんは税制優遇と引き換えに賃上げの要求を企業にすることで、人に投資をして経済成長と経済格差の解消を狙っています。
ただこれでは政策的には少し弱く、結局あまり変わらないのではないかと思います。
税制優遇と引き換えに賃上げ要求というのは、規模こそ違えぞ以前にもやっていました。
ただこのやり方だと、そもそも税制優遇を受けられる企業そのものが少なく、しかも結局大企業に偏るんですよね。
大企業の社員の給料が上がったところで、格差はまた広がりますし、また大企業の社員の給料が上がるということは、その大企業はそのしわ寄せを取引先の中小企業に向けますからね。
結局、大企業ではなく、中小企業の社員や非正規雇用の人たち、それにフリーランスの人たちの賃金が上がらなければ、全然意味がないんですよね。

まず雇用や賃金において大企業が絶対的に優位な状況をどうにかするのが手始めではないでしょうか。
ここの不平等性をなくし、上位企業が不条理な中抜きが出来ない仕組みをキッチリと作る必要があると思います。
そして、大企業が中小企業や請負企業に対して無理な要求をしていないか、ちゃんと監査をする仕組みも作る必要があるでしょう。
大企業が利益の多くを得るのではなく、中小企業や請負企業にしっかりとお金が流れるようにする。
その上で、賃上げを要求するのではなく、最低賃金そのものを社会政策ではなく、経済政策として上げる。
すでに韓国では数年前にやっていますし、ドイツも選挙公約で最低賃金1,550円以上を謳っていたので、出来ない話ではないでしょう。
共産党などは1500円以上を要求していますが、さすがにそこまではきつくても、思い切って1200~1300円以上にする必要はあると思います。
これぐらいしないと経済格差は解消されない。
逆に言えば、これをやれば、多くの人が今よりもお金を持つようになるので、消費は絶対に上がり、企業の利益も伸びるはずです。
ポイントなのは、そうしたプラスの流れを作り出すことであり、それには多くの人にお金が回るような仕組みを作ることが大事なんですよね。
まあ、ちょっと考えればわかることなんですが、既得権を持つ人たちがとても反対しているんでしょうね……。

それと、人への投資というのなら、大学・専門学校の無償化は必須です。
日本の過程における教育支出は海外と比べても異常に高いです。
子育て世代が消費に踏み切れないのは、明らかに教育のためにお金を貯めなければいけないからです。
ていうか、ここを無償化することによって、人が育ち、子育て世代の消費が増え、しかも少子化への対策になるといういいこと尽くな状況になるんですよね。
ちょっと考えればわかる話のですが、唯一維新の会が目立って訴えているだけで、国会では全然議論もされない。
これも、これをやったら困る人たちが反対しているんでしょうね。
予算的にも、ベーシックインカムなどに比べても、どうにかなる数字だとは思うのですが。

まとめると
・大企業と中小企業・請負企業・フリーランスの間で不条理な上下関係を生まないように監査する仕組みを作る。
・社会政策ではなく経済政策としての大幅な最低賃金の上昇
・大学・専門学校の無償化

ポイントは、すでに持っている人をさらに豊かにするのではなく、持たざる人、時給で言えば、1500円以下で働いている人の所得を大幅に増やすことです。
ここの層にお金が回ることで、経済格差が解消に向かいますし、間違いなく消費も増えていきますからね。

「人への投資」という方向性は間違っていないので、どうにか結果が出るような具体策を打ち出して行ってほしいですね。