成果も出せず、自らの地位に甘んじてあぐらをかいているだけの経営者にはNOを突きつけよう

日本だけ給料が上がらない謎…「内部留保」でも「デフレ」でもない本当の元凶

これはその通りですね。
日本の賃金が上がらない理由を書いてあるんですけれど、そもそもの原因を辿っていくと、経営者の資質の問題と彼らを甘やかす環境にあると言っています。
内部留保で溜めすぎという課題や最低賃金を低すぎるという課題は、確かに政策としてこれから取り組んでいかなければいけない問題ではあるんですけれど、そもそも根本的なところで日本企業の企業業績そのものが他国の大企業と比べて上がっておらず、賃金を上げようにも上げるだけの原資がないということなんです。

じゃあ、どうして企業業績が上がらないかというと、90年代後半からのIT化に乗り遅れたことに最大の原因があり、しかも政府はここで最悪の悪手を打ったんですよね。
それは、バブル崩壊後に業績が悪くなり、債務超過に陥ったゾンビ企業を税金を使って延命させたりしてきたんです。
しかも、企業の声に応えて、非正規雇用の拡大までをも認めてしまった。

もはや散々いろいろなところで書かれていることですが、この非正規雇用の拡大によって、失ったものは大きいです。
そもそも多くの若者や女性を低賃金で働かせることを当たり前のこととしてしまったので、多くの人が余分なお金を持てなくなってしまった。
そうなると、当然国内の消費が落ちるので、それがそのまま企業の収益の悪化に繋がります。
まあ、そんなことちょっと考えれば小学生でもわかる原理だと思うんですけれど、当時の人たちはそんな単純なことにも気づけなかったんですよね。
いかに目先のことしか考えていなかったということがわかります。

さらに、当然低賃金で働いている人たちは、将来の見通しが立たないので、結婚をしなくなっていきます。
そうすると、そうですよね、さらなる少子高齢化を招いたんです。
少子高齢化になると、そもそもさらに消費をする頭数が減るので、国内消費が落ち込み、さらにデフレへと突き進んでいくことになります。
結果的に、90年代末からの政策は、日本を衰退化させるものでしかなかったんですね。

そして問題は、そうした政策の失敗に気づくことが大きく遅れたことです。
ようするに付加価値によって業績を上げられない多くの企業は、非正規雇用や請負などのアウトソーシングを活用して賃金を抑えることによって、どうにか収支を保ってきたんです。
そして、収支が保たれているのだから、まあ、それなりによくやっているんじゃないかとみんな思ってしまった。
でも、その間に世界の企業は付加価値を加えていき、日本企業を飛び越えて行ってしまったんです。

今、政府がやらなければいけないのは、最低賃金の引き上げと企業に内部留保を吐き出させ、投資を活発化させることです。
そして、国内消費を上向きにさせるために、大学、専門学校等の高等教育の無償化です。
日本は、教育に関しての公的な支出が他国に対して低すぎず、家庭に頼り過ぎています。
これが家庭の財布のひもをきつくしている一番の理由ですよ。
ここをある程度補填しもらえれば、間違いなく消費が上向きますし、それだけでなく大学や専門学校に通う人自体が増えるので人材の高等化が望まれます。
良いことしかなんですよね、ゾンビ企業をすくい続けているよりも、ずっと有効なお金の使い方ですよ。

そして社会としては、もっと付加価値を生み出せず、成果の出せない経営者を糾弾していくべきだと思います。
何年も人を減らし、賃金を抑えることでしか、収支をまとめられない経営者は、その時点でアウトなんです。
それが株式会社であるのなら、株主総会等でどんどんと追及されていくべきですし、その無能さに対して責任を取らせるべきなんです。

どうも日本の企業というか、社会は大きく勘違いしているのですが、会社の中で出世して力を得るということは、やりたい放題にやれる立場に立つということだけじゃないんですよね。
それだけ責任があり、それが問われるということなんです。
人よりもたくさんの報酬をもらうということは、そうしたことを意味しているんです。
でも、多くの日本の経営者はそうしたことをちゃんと自覚しているようには、残念ながら見えません。
たぶん、役得というか、そうした地位に辿り着いたことそものが既得権になってしまっているんですよね。
特に、日本の企業の場合は、大企業といえど、同族経営の会社が9割以上を占めていますからね。
その一族に生まれたというだけで、経営者となっているので、そもそも自分自身が追われるという危機感がないですし、何となく受け継いだものを壊さずにしておけばそれでいいとすら思っているのでしょう。
それに対して、賃金を低く抑えようが、付加価値を生み出せなかろうが、自分自身が責任を問われることがないので安泰なんです。

日本が変わるには、まず企業の経営者を刷新していく必要があります。
現状を見て、多くの経営者が結果を出せていないから、日本そのものが衰退をしてしまったわけですからね。
縁故や年功序列にとらわれることなく、優秀で、社会に対してしっかりとした哲学を持った人間を、たとえ若かろうと、女性であろうと、外国人であろうと、どんどんと積極的に引き上げていく必要があり、そうした人たちに取り舵を担ってもらうようになってほしいです。

まずわたしたちが出来ること。
それは、成果を出さずに、自らの地位に甘んじてあぐらをかいている経営者に、NOをを突きつけることです。