劇場版 SPY×FAMILY CODE: White
2023/日本
漫画やテレビアニメで大ヒットした作品の劇場版ですね。
疑似家族であるフォージャー家の話ですが、話の肝が家族それぞれに家族にも言えない秘密があること。
父ロイドが実は、敵国のスパイ。母ヨルは殺し屋。そして娘アーニャは超能力で人の心が読め、飼い犬のボンドは予知能力があるといった具合に、それぞれのバックグラウンドがあって、それらが枷になっているんですね。
唯一、人の心が読めるアーニャだけがそれぞれの素性を知っているのですが、それがバレてしまうとこの疑似家族自体がなくなってしまうので、アーニャーは絶対に口にしない。
一見突飛な話のように思えますが、エンターテイメント作品としては、この設定の作り方は見事ですね。
それぞれにバレてはいけないという枷がある分、その枷が物語を形作っている典型的な良例であると言えると思います。
特に幼いアーニャだけがそれぞれ素性を知っているというのがポイントですね。
幼い分、色々と取り違えた解釈をしてしまうことで、それ自体がストーリーの流れを作っていますし、また適度に笑いを入れる抜きにもなっていますからね。
この構造を作り上げているというだけで、物語として面白くないはずはないと思います。
確かに、結局のところ、ロイドとヨルの高すぎる能力故に話が解決しているという点は否めないのですが、それを含めての予定調和を楽しめる作品ですね。
さて、劇場版。
例に漏れず枷を上手く使って物語を組み立てています。
枷を使いこなすことだけでも一苦労だというのにちゃんとテーマと笑いを入れて来るからこそ、この作品が支持されるわけなんですね。
疑似家族を描きながらも、家族とは何なのかを楽しみながらも考えさせてくれる作品でした。