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厳選名著紹介

「そして誰もいなくなった」 著 アガサ・クリスティ

「そして誰もいなくなった」  著 アガサ・クリスティ アガサ・クリスティの名作ですね。 ミステリーの最高傑作の呼び名も高い作品です。 映画で観たことはあったのですが、改めて本で読んでみると確かにすこぶる面白かったです。 まずすごいなと思ったのは、無駄が全くないという点。 本当にスルスルと読めることが出来ました。 見ず知らずの人間が10人、離れ小島に呼び寄せられることで話が展開するのですが、圧巻なの […]

「寂しい丘で狩りをする」 著 辻原 登

「寂しい丘で狩りをする」  著 辻原 登 ストーカやDV男とそれに怯える女性たちの話ですが、二十年以上前にこの内容を書いていますが非常に進んでいますね。 今でこそ、ストーカーやDVは悪いものだという一般認識がありますが、まだこの認識が甘かった時代に、それをしっかりと糾弾するかのように、こうした行為を行う人間を生々しく描いている点に好感が持てました。 物語は、レイプ被害に遭った敦子が加害者である押本 […]

「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」 著 上間陽子

「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」  著 上間陽子 沖縄において、貧困やネグレクト、虐待などか当たり前のように存在する環境の中で、必死に最善を選んで生きている少女たちのルポです。 全部で七人の少女のルポが本作に収録されていますが、どれもが胸に迫る記録であり、悲しいとか切ないとか、それだけでは収まらない複雑な感情を引き起こす作品です。 専門家として少女たちの話を枠にはめていくのではなく、あくま […]

「偏見や差別はなぜ起こる? 心理メカニズムの解明と現象の分析 編 北村英哉・唐沢穣

「偏見や差別はなぜ起こる? 心理メカニズムの解明と現象の分析  編 北村英哉・唐沢穣 偏見や差別がなぜ起こるかについて、心理学から徹底的にアプローチをされた本です。 第一部では、偏見・差別の仕組みについて書かれており、そもそも偏見・差別とは何なのかについて、理論的に読み解かれています。 ステレオタイプの作り方などは、非常に勉強になりましたし、偏見・差別がいかに政治やイデオロギーとも密接であるかが丹 […]

「嘘と政治 ポスト信実とアーレントの思想」 著 百木 漠

「嘘と政治 ポスト信実とアーレントの思想」  著 百木 漠 ある意味現代社会においてもっと読まれるべき本の一冊かもしれません。 フィルターバブルによって社会的分断が行き着くところまで来てしまっている世界の中で、わたしたちがどう考え、何をするべきなのかに対して、ヒントを与えてくれる作品です。 著者は、今の社会において問題なのは、政治家が嘘をつくことについて意に介さなくなり、言葉の無力化を図っているこ […]

「科学の社会史 ルネサンスから20世紀まで」 著 古川 安

「科学の社会史 ルネサンスから20世紀まで」 著 古川 安 単なる科学史ではなく、科学が社会にどう影響を与えたのか、またどのように世の中に浸透していったのかという点に重点が置かれている本です。 のっけから少し驚かされたのが、科学はそもそも独立しておらず、哲学の中の一分野であったという点。 確かに冷静に考えてみれば、自然科学ですからね。 自然を研究することが、すなわち科学であるというわけで、それが時 […]

「虚空の人」 著 鈴木 忠平

「虚空の人」  著 鈴木 忠平 元プロ野球選手のスター選手だった清原和博さんが覚醒剤取締法違反で逮捕されてから、執行猶予が開けるまでの様子を描いた本です。 実は、清原さんは、子どもの頃のわたしにとって、一番のスターだったんですよね。 物心ついたころから、西武ライオンズのファンだったわたしにとって、甲子園で大活躍してから西武に入団し、ライオンズの黄金期の四番打者として活躍していく清原選手の姿は、本当 […]

「手塚治虫とトキワ荘」 著 中村右介

「手塚治虫とトキワ荘」  著 中村右介 トキワ荘にまつわる話を膨大な資料をもとに調べられているルポです。 これまで漠然と知っていた話も、ああ正確にはこうだったのかとか、こういう話だったんだとか、ここがこう繋がるだという感じで、色々と知ることが出来て非常に楽しめました。 知識欲が非常に満たされましたね。 出版社の成り立ちというか、発展の仕方も時系列にわかるのでとても興味深かったです。 特にトキワ荘の […]

「情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて」 著 セザー・ヒダルゴ

「情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて」  著 セザー・ヒダルゴ 世界の捉え方の感覚を根本から変えてくるほど、衝撃度の高い本でした。 世界が基本的に物理の法則の中で出来ていることは、現代人のもはや常識です。 しかし物理の法則とは、コーヒーにミルクを垂らすと次第に混ざった溶けていくかのごとく、基本的に秩序から無秩序に変化するものであり、そう考えると、物理の法則とは逆方向のベクトルに進 […]

「五島崩れ」 著 森禮子

「五島崩れ」 著 森禮子 いわゆる隠れキリシタンの話ですが、かなり衝撃的な作品でした。 隠れキリシタンといえば、どうしてもまず天草四郎とか島原の乱をイメージしてしまいますが、この作品で語られているのはその時代の話ではありません。 幕末から明治初期の話です。 すでに文明開花の兆しがあった時代にそもそも隠れキリシタンがいたとか、彼らに対して壮絶な迫害があったとかそういった話自体がほとんど知らなかったの […]