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厳選漫画批評

「ユフラテの樹」 著 手塚治虫

「ユフラテの樹」 著 手塚治虫 手塚先生らしいテーマ性の強いSF作品ですね。 主人公は高校生の男女三人。彼らが研究発表のために訪れた島で見つけたのがユフラテの樹であり、彼らがその実を食べたことで話が展開していきます。 ようするに、実を食べると人並外れた力を得るという超能力ものなのですけれども、面白いのが超能力を得て悪さをする悪党を倒すというありがちな勧善懲悪を描くのではなく、超能力を得るのはあくま […]

「いつも美空」 著 あだち充

「いつも美空」  著 あだち充 「タッチ」や「H2」といった作品でよく知られているあだち充さんの作品ですね。 あだちさんの作品は叙情とシリアスとコミカルさがうまい具合に混じり合った作品が多いのですが、本作はコミカルさにかなり重点が置かれた作品です。 特徴的なのが、話を読み進めても、この物語がスポーツものなのか、超能力ものなのがその主題がさっぱり見えてこないこと。 一応、ことあるごとにこの物語は日本 […]

「H2」 著 あだち充

あだち充作品の中で「タッチ」に次ぐ知名度の高い作品ですね。 野球にラブコメを混ぜたところは、あだちさん得意のカタチですが、大きく違うのは「タッチ」が三角関係を描いたのに対し、本作はそれをさらに進める形で四角関係を描いているというところです。 三角関係はアンバランスなので、ドラマにしやすいのですが、四角関係で二つのカップルがほとんど出来ている状態だとなかなかドラマとして仕上げるのは難しいんですよね。 […]

「MS戦記 機動戦士ガンダム0079外伝」 原作 高橋昌也/作画 近藤和久

「MS戦記 機動戦士ガンダム0079外伝」  原作 高橋昌也/作画 近藤和久 これ、子供のときに読んでやたら印象に残った本なんですよね。 今思えば、原作が元ストリームベース(モデラー集団、「プラモ狂四郎」にも出てた)であり、「ガンダムセンチネル」を描いた高橋昌也さんで、作画がその後ガンダム漫画で一世を風靡する近藤和久さんなんで、面白くないわけないんですけれどもね、子供のときはそんなことまったく意識 […]

「クロスゲーム」 著 あだち充

「クロスゲーム」  著 あだち充 「タッチ」や「H2」のあだち充さんの作品ですね。あだち充さんといえば、やはり上記のに作品が有名ですが、本作も人気が高く、むしろ本作こそが一番だという声もよく聞きます。 また、「タッチ」の後継作といえば、舞台をそのまま利用した「MIX」がまず挙げられますが、テーマとして後継しているのは、本作といえるでしょう。 そうなるとまず「タッチ」のテーマのおさらいから話を始めな […]

「人間昆虫記」著 手塚治虫

「人間昆虫記」著 手塚治虫 日本が誇る巨匠の中編漫画ですね。 有名な作品群に比べれば一般的にはあまり知られていない作品ですが、異色の劇画として知る人ぞ知る作品です。 物語は、十村十枝子を中心に動きます。 特徴的なのは、十枝子の類稀な能力です。 それは才能のある人間をコピーして自分のものに出来るというものです。 ただ鍛錬をしてその技術を習得するというより、自身の魅力を使ってありとあらゆる手を使って相 […]

「プラテネス」著 幸村誠

「プラテネス」 著 幸村誠 デブリ(宇宙ゴミ)を回収する宇宙飛行士の話ですね。 近未来において宇宙に進出する人間の心理をうまく描いていますね。 秀逸なのは、デブリ回収という地味な職業に光を当てることで、世界の矛盾はおろか、宇宙という環境に身を置く人間の哲学的な変化を見事に表現しているという点です。 宇宙を舞台にした話なので、SF的な様相が強いような印象を受けますが、実際話の大半は哲学的な問答である […]

「交響詩篇エウレカセブン」著 片桐人生・近藤一馬/BONES

メディアミックスの成功例としてよく語られる作品ですね。 アニメの評価が高いことはよく知られていますが、個人的にはそれに負けず劣らずこの漫画版も好きです。 特にエンディングの終わり方は、ちょっと切ない漫画版の方が好きですね。 この作品が広く受け入れられたのは、ひとえにテーマがわかりやすく、そこを徹底的に深掘りしているからです。 「好きって何?」「信じるってどういうこと?」 単純な気持ちを突き詰めてい […]

「鉄人」著 矢作俊彦・落合尚之

「鉄人」著 矢作俊彦・落合尚之 隠れた名作ですね。 押井守さんや安彦良和さん、大友克洋さんというそうそうたるメンバーが絶賛している作品です。 まず話の設定が面白いです。 現代の旧満州が舞台で旧日本陸軍が隠していた兵器が次々に出てくるわけですから、歴史が好きな人には興味深いですね。 そこに最新のロボット技術の話がうまく噛み合っているわけですから、SFとしてこの上ない話です。 この作品を読んでいて思う […]

「漆黒のブリュンヒルデ」 著 岡本倫

「漆黒のブリュンヒルデ」  著 岡本倫 これは面白かったです! 何となく読み始めたら最後、続きが気になって仕方なく、一気に読んでしまいました。 まず話の設定と構成が抜群ですね。 いきなり、幼少期に良太と寧子が転落するところから始まり、自分のせいで寧子が死んだと良太が背負った十字架を読者は思い知らされます。 そして、高校生になった良太に、再び現れる死んだはずの寧子。 でも、彼女には記憶がない。 これ […]