「永遠のこどもたち」
永遠のこどもたち 2007年公開/スペイン、メキシコ (ネタバレ注意) ホラーとか、オカルトとか、サスペンスだとかいう括りで語ってしまってはもったいない映画ですね。正直結構怖い話で、怖がらせることにものすごい工夫を重ねながらも、それでいてテーマもキッチリと語っている傑作であると思います。やや細部で都合がよすぎる点もあるけれど、そんなものは吹っ飛んでしまうぐらいに映画に引き込まれました。 映画は孤児 […]
永遠のこどもたち 2007年公開/スペイン、メキシコ (ネタバレ注意) ホラーとか、オカルトとか、サスペンスだとかいう括りで語ってしまってはもったいない映画ですね。正直結構怖い話で、怖がらせることにものすごい工夫を重ねながらも、それでいてテーマもキッチリと語っている傑作であると思います。やや細部で都合がよすぎる点もあるけれど、そんなものは吹っ飛んでしまうぐらいに映画に引き込まれました。 映画は孤児 […]
暗くなるまで待って 1967年公開/アメリカ 元々が舞台の作品だけあって、いわゆる優れた密室劇の要素をふんだんに含んでいる作品です。しかもただの密室劇というだけじゃなく、これに主人公が盲目という条件が加わるので、観ている人間からしてみれば、二重の恐怖が伝わってきます。 普通密室劇の場合、襲ってくる敵は、物語の中盤や最後までわからないものです。密室という限られた空間の中で、何だかわからないものが襲っ […]
イン・ハー・シューズ 2005年公開/アメリカ/ ベストセラーになった原作を読んでいないのでわかりませんが、そもそも原作が良いのか、映画化の際に脚色がいいのか、とにかく内容がすこぶる好みの映画でした。 人が羨む容姿を持っているのにもかかわらず、難読症というハンデキャップがコンプレックスとなって、人生を踏み外している妹のマギーと、弁護士としてキャリアを持ちながら、その容姿をコンプレックスに思い、履き […]
エリザベス 1998年公開/イギリス エリザベス一世のイメージはといえば、まず頭に浮かぶのは、世界史の教科書に載っていた肖像画の写真です。その中での彼女は、豪華な装飾品やドレスを身にまとい、これでもかというほどの威厳をかもし出していますが、一方でその表情は、おそろしいほど精気がなく、まるで精巧にできたロボットのような顔をしています。 学生時代のわたしは、世界を制した大英帝国を築き上げた女王が、なぜ […]
イカとクジラ 2005年公開/アメリカ (ネタバレ注意!) 『家族』というものを考えさせられる作品でですね。普通、この手のテーマの場合、感動的なもの雰囲気を持ったものが多いのですが、この作品は、どこか皮肉っぽくて、違う見方をしていて、それ故に普段感じない変遷を経て、心に響いてくる感じがします。 この作品、両親がともに作家であり、16歳と12歳の二人の男の子がいる四人家族であるのですが、のっけからう […]
愛を読む人 2008年公開/アメリカ・ドイツ (ネタバレ含みます!) 物語は15歳の少年マイケルと36歳の女ハンナの禁断の情事から始まります。ある意味犯罪で、世が世なら逮捕されるシチュエーションなんですけれど、でも少年の気持ちは大抵の男なら誰もがわかる感情でしょう。これぐらいの年のときって、やたらと大人の女性が魅力的に思えるときがあるんですよね。そしてそんなシチュエーションの中で、この映画の最大の […]
「ヒロインズ」 著 ケイト・ザンブレノ 明らかにこれまで読んだことのないタイプの本でした。ここまで感情が爆発している本はちょっとないですね。 女性であり、マイナーな作家である筆者が、モダニズム全盛期の著名な作家の虐げられた妻たちに想いを寄せ、自分自身の現状と重ね合わせていくという、いわばドキュメンタリーとも私小説ともとれるブログをまとめた本なのですが、この本の場合、読み手で女性であるのか、男性であ […]
子どもと一緒に「映画ドラえもん のび太の月面探査記」を観ました。 単純に面白かったです。 普通に、大人が観ても充分に楽しめる出来になっていると思います。 個人的には、大きく感心した点が一つありました。 ドラえもんの映画と言えば、ものすごい高確率でしずかちゃんが囚われの身になって、他のメンバーがそれを助けるという構図になるのですが、詳しいことは言えませんが、今回の映画ではその点が逆転しているんですよ […]
「空気の研究」 山本七平著 念のため、H2Oではなく、「空気を読む」の空気の研究ですね。 何年か前に東京都の小池知事が口にして、再び脚光を浴びた本でもあります。 作者の山本七平氏は、両親がキリスト教徒であり、生まれた頃からキリスト今日を肌に触れ、その文化を良く知る人であり、また第二次世界大戦時には激戦の地であるフィリピンで戦い抜き生き長らえた経験を持つ人でもあります。 そんな彼だからこそ行き着いた […]
「オリエンタリズム」 エドワード・W・サイード著 文芸に対する批評の目を権力に向けた作品で、世界に大きなインパクトを残した作品でもあります。 1978年に出版された本なのですが、西洋が描く東洋の表象には権力の問題が隠されていることを鋭く指摘した最初の本ですね。 平たく言えば、共産主義国家が衰退していく中で、西洋(特にアメリカ)が新たなる敵としてイスラムを描き出していくことを批判しているのですが、こ […]