バイトテロ 目を向けられていないもう一つの問題

バイトテロの話題がこれでもかというほど次々に出ていますね。

この話、基本的に不適切な動画を流した人間に非があるのは明らかであり、彼らが非難をされるのは致し方のないことだと思います。
ただあまりに彼らを非難するあまり、なぜ彼らはバイト先で不適切な動画を撮影し、それを流すのか、という理由にはあまり着目されていないような気がします。そんなのは関係ない。とにかくやった人間を罰せればいい、という意見もあるかもしれませんが、それでは本当の意味での解決にはなりません。もう二度とこのようなことが起きないためには、やはりなぜ彼らがこのような暴挙に出たのかを分析しなければいけないように思います。

個人的に彼らがバイトテロに走った理由としては、大きく分けて二つあると考えております。
一つは、これが大きく、また誰もが想像つく話だと思いますが、ようするに目立ちたいがゆえに悪ノリした、ということに尽きると思います。
ユーチューバーが注目され、誰でもが注目されれば、カッコいいと思われ、お金を得られる、という話になれば、安易にそれをやりたがる若者は増えるでしょう。実際、人気を集めるユーチューバーにはそれなりの苦労や努力があると思いますが、数分の楽し気な動画を見ているだけではそれは伝わらず、自分も簡単に注目を浴びる人間になれると思ってしまうのかもしれません。
なぜ一部の若者たちは目立ちことを欲するのか、そこに踏み込むと意外と奥の深い話になってしまうのかもしれませんね。おそらくそこには、日常の中では画一化の中に埋没してしまう自分と、自分のすぐ外にある、手に届きそうで届かない他人による成功体験の情報との間の境界線があいまいになっている点に問題があるのだと思います。ようするに、自分自身の能力とプライドが噛み合わず、知らず知らずのうちにアイデンティティを見失い、それを目立つことで解消しようと考えてしまったんですね。それをやれば、どうなるか、そんな想像力すら持たないままに。

もう一つは、これは世間ではあまり言及されていないのですが、やはりバイトテロが起こっている企業自体のリスクマネジメントの問題です。似たような問題は、数年前からすでに出ています。なので、大抵の企業の場合、それに対する内部規則や注意喚起はもちろんあったはずです。それにもかかわらず、それがこれだけ起きているということは、形だけの内部規則があったとしても、それが実際に行きわたっていないという何よりの証拠でしょう。
この問題は、問題を個人の責任だけにすませるほど単純な問題じゃないと思います。当該企業がすべてそうであるかどうかはわかりませんが、やはり多くの店舗数を持つ大手企業にありがちな、バイトや社員の教育の現場への放り投げなどの問題、つまりは企業における教育が本当に適切に行われているかどうかに尽きます。また今回くら寿司では、投稿動画により、アルバイトが寿司を握っていることが判明しました。またセブンイレブンではかねてからバイトによる商品の買い取りなどの問題やフランチャイズ店への過酷な要求の問題などが聞こえてきています。今回、動画が投稿された店舗がそうであったかどうかはわかりませんが、普通に考えて職場環境に問題があったのではないかと想像は簡単についてしまいます。
それに加えて、人手不足によって無茶なシフトを入れられていたんじゃないかとか、無茶な売り上げを要求されていたりもしたんじゃないかとか、と色んなことが考えられてしまうのです。

数年前からブラックバイトという言葉が流行っていますが、もしかしたらバイトテロと裏表の話なのかもしれませんね。
むろん、企業だけの問題ではなく、その当該店舗による問題があるのかもしれません。
一番悪いのはもちろん不適切な同化を撮影した本人たちなのですが、その裏にある背景を調べる必要があるのではないかと思います。
メディアも目立つところだけを競って報道するのではなく、こうした裏に隠れる理由を丁寧に調べて報道してほしいですね。それこそが、消費者にとって本当に役立つ情報でありように思います。

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