https://movie.smt.docomo.ne.jp/article/1292419/
今度公開される「12か月の未来図」というフランスの映画を紹介する記事なのですが、とても興味深い映画ですね。
映画の内容は、パリの名門高校から郊外の貧困地域の中学校に派遣されたベテラン教師が、生徒たちとの交流から自分を再発見し、生徒たちもまた学習することの大切さを学び成長していくという物語なのだそうですが、その背景になっているフランスの教育格差の話が気になります。
フランスと言えば、日本やアメリカと違って大学院までほとんど学費がかからず、金銭的な意味では教育格差のない国として有名です。私立高校の無償化を進めたばかりで、大学などの高等教育の無償化も議論されつつある日本にとっては、そういう意味では今後指標となる国であることは間違いないでしょう。
ただ学費がかからなくても、それでも教育格差が生まれてしまっているというのが、この映画主題とも言える点だと思います。
なぜ学費がかからないのに、教育格差が生まれるのか。それは、端的に言えば、フランスにはお金持ちが住んでいる地域と移民などのいわゆる貧民層が住んでいる地域がハッキリと別れていることに端を発しています。ようするに、フランスでは教師の赴任は、その教師が持つポイントによって優先順位が決められるそうなのですが、そうすると経験年数があり、教える力に長けたベテランの先生は、お金持ちが住んでいる地域への赴任を選びたがり、貧民層が住んでいる地域には、経験の浅い新人教師が赴任するという偏りが生まれてしまっているようです。
当然、ベテランの先生教える子は、勉強が出来るようになりますし、新人の教師が教える子の成績はなかなか伸びません。もちろん、個人差はあるでしょうが、普通に考えれば、往々にしてそうなるでしょう。
紹介されている映画では、その経験豊かで、能力のある教師が敢えて貧民層で教えるという選択を選ぶ話のようですが、こういう社会問題を真正面から描こうとするのが、フランス映画のいい所ですね。
それにしても、やっぱり国の中で豊かな人と貧しい人がお互いに見えない場所に住んでいるというのは問題がありますね。日本ではそこまでひどくありませんが、すでに東京の港区などはお金持ちが住む町みたいな感じになっており、住む場所になる格差は今後広がっていく可能性があります。この間の南青山の児童相談所の問題などもありましたが、あまりにその格差が広がっていくと新たな社会問題を生むだけなんですよね。それでは、せっかく政策として教育の無償化をしようとしても、意味がなくなってしまいます。
うーん、こういう話を一つとっても、格差が広がることは、社会全体にとっては何のメリットもないと思うのですが、どうにかならないもんなんですかね。