全然知らなかったトラックドライバーの苦しい事情

世間が知らない「トラックが路上駐車をする理由」

いやあ、これは全然知らない話でしたね。
トラックドライバーの路上駐車問題なんですが、なぜそれが至る所で起きているかなんて正直考えたこともありませんでした。

そもそも長時間路駐をしている大型トラックの多くは、BtoB輸送を担うトラックだそうです。
BtoBとは、宅配便などの法人から客への輸送ではなく、法人から法人へと輸送を担っているということです。
つまりスーパーの商品や、製造・建設資材の運搬などを担うのは、こうしたBtoB輸送のトラックで、彼らはわたしたちの見えないところで、わたしたちの生活インフラを下支えしている存在だと言えます。

そして問題は、なぜ大型トラックが路駐してしまうのかという理由です。
ポイントは、「早着」が許されないという点に着きます。
つまり、「延着」(指定時間に遅れて到着すること)が許されないことは普通に考えればわかりますが、トラックドライバーには「早着」(指定時間より早く入構すること)も許されていないという話なのです。
しかも問題なのは、早く着いたところで、荷主の敷地内で待機させてもらえない。そればかりか「近所迷惑になるから」「混雑緩和のため」という理由で、荷主の敷地周辺ですら待機が禁止されるケースも少なくないそうです。

これはちょっとビックリな話ですね。早く着いて怒られるって。
まあ、荷下ろしの人数の確保とか、場所的な問題とか色々とそこにも理由があるとは思いますが、ちょっとそれはもう少し受け手側がどうにか融通してあげないといけないことだと思います。

さらにもっと言えば、時間通りに着いた後、そこからさらに数時間、時には1日中、他のトラックの積み降ろしが終わるのを待たされることがあるそうで……、ここまでくると、これは虐めか何かではないかと思ってしまいます。

先日、テレビでなぜコンビニ等のお弁当やおにぎりで大量廃棄が出るのかというのを解説していましたのを見ました。
そもそもコンビニの棚をつねに新鮮な状態のものでいっぱいにしなければいけないという理由で、本社が食品工場に発注をかけているそうなんですが、食品工場としては発注されたときに足りないということが許されないから、予備で大量に作っておく。結局、そうしたものがフードロスにつながるのだそうです。

トラックドライバーの話も食品工場の話も、実は同じですよね。
立場の強い、本社や荷主が立場の弱い業者に対して、無理難題を押し付けているのです。
これは、ハッキリ言って、パワハラに近いですよ。
個人間のパワハラが許されなくなったのだから、こうした法人間の力関係による押し付けも法的に取り締まる必要があるのではないかと強く思います。

トラックドライバーはこうした不条理の上に、さらに430ルールというものに苦しめられているそうです。
これは4時間走ったら30分休憩しなければいけないというルールですね。
そのほかにもその日のうちに帰れない長距離トラックドライバーに課せられる「翌日勤務までの8時間以上の休息期間」などもあるそうです。

430の休憩時間が迫っているのに、駐車場が見つからなければ、必然的に路駐せざるを得ません。駐車が出来る場所を探さなければいけないという精神的な負担が増えるというのでは、これはやはり問題なのです。
本来トラックドライバーに休憩をキチンと取らせるために定めた運送会社への労基上のルールが、結果的にドライバーの首を絞めているという皮肉な状態になっているんですね。

まあ、かといって、労基上のルールを軽くすれば、今度は運送会社がドライバーを酷使するのは目に見えています。
問題は明らかに、力関係に運送会社よりも上位にある会社が、運送会社をキツく縛り上げている点でしょう。
仕事を与えてんだから、言う通りにしろでは、持続可能な社会は作れません。
仕事を与える側ならば、仕事をしてくれる人がいなければ、自分たちの仕事がままならなくなることを自覚するべきです。

自分たちの仕事のために働いてくれる業者がいるのなら、その業者が働きやすいようにやれることをやるのは、仕事をやってもらう側の当たり前の務めです。

時間的に融通を利かせるようなシステムをつくる。
待機するスペースをつくる。

そんなに難しい話じゃないですよね。
少なくともある程度そこに向かって努力は出来るはずです。
国も、労基上のルールだけを作るのではなく、同時にこうした仕事をしてもらう側を縛るルールもちゃんと作らなきゃダメですよ。

見過ごされがちなBtoB間の「パワハラ」問題は、もっと社会的課題として取り上げられるべきです。
そしてわたしたち消費者も、何でもかんでもいつでも便利にモノが手に入るということは、そのために大変な思いをしている人たちがいるということを知るべきです。
消費者の当たり前の要求が高くなることで、こうした話が生まれているのですから、まずはそういうのはダメだと言う消費者が増えることが本当に大事ですね。

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