衆議院議員選挙が終わりましたね。
自民党がある程度議席を失い、立憲民主党と日本維新の会が議席を伸ばすかと思われていましたが、蓋を開けてみると自民党は減りはしたものの、微減に留まり安定絶対多数を確保、逆に野党連合によって議席を伸ばすかと思われた立憲民主党は改選前の議席を下回ることとなり、日本維新の会だけが一人勝ちするという結果となりました。
まあ、何がどういう理由でこうした結果になったのかはさておいて、個人的に今回の選挙で感じたことは、今の選挙制度ではなかなか変化が起こしにくいなということでした。
そのことを象徴的に示しているのは、選挙前の自民党中国地区比例ブロックにおける名簿順位をめぐるゴタゴタです。
簡単に説明すると、山口県では林芳正さんが参院議員から衆院選の山口3区に鞍替えを表明してあたました。
その煽りを受けて、同区を地盤とする河村健夫氏が引退となり、その代わり河村氏の長男が比例中国ブロックで優遇されるとの話が浮上していたそうです。
しかしそれが安倍晋三元首相の影響力で覆り、思想的に安倍さんに近いとされる杉田水脈議員を比例名簿上位にして、河村氏の長男は縁のゆかりもない北関東の比例ブロックに飛ばされてしまった。結果杉田水脈議員は当選し、河村氏の長男は落選……。
何だか、ツッコミどころ満載な話ですよね。
まず問題なのは、今の比例という制度を元にだと、仮にどんなに国民がその人の人柄がおかしいと思っても、やり方次第でその人は簡単に国会議員になれてしまうという点です。
杉田水脈さんは、これだけ少子高齢化が進み、ジェンダー平等が当たり前のこととしいて叫ばれる中で、保育園や学童の存在を強く否定している人でした。
それだけでなく、繰り返し女性に対する差別的な発言もしてきました。
多様性が認められるべき世界の中で、彼女がどのような思想を持つのかは自由です。
こうした極端な発言を繰り返していても、有権者が認めれば国会議員として活動しても問題ないでしょう。
でも、杉田さんは個人で認められたわけではありません。
あくまで戦前の家父長的な家制度を理想とする安倍さんの思想と合致し、彼に気に入られたことで比例の名簿順位を上げて当選した。
つまり、形こそ国民が選んだことになっていますが、実際は国民ではなく、安倍さんに気に入られて選ばれたがゆえに、国会議員になったということです。
もちろん制度がそうなっている以上、安倍さんも杉田さんも法律違反をしているわけではありません。
ただ制度を自分の都合に合わせて使われていると思われても仕方がないです。
国民の声を代弁するのではなく、安倍さんの声を拡張するために国会議員になれてしまう。
これは自民党に限った話ではありません。
今の比例代表制では、このように党の実力者が自分の都合によって、本来なら国民の代弁者であるはずの国会議員を選べてしまう仕組みになってしまっているですね。
そしてもう一つの問題は、世襲です。
山口の話では、あくまで河村氏の長男がまるで被害者のように報道されましたが、そもそも多くの政治家に子どもに継がせるべき地盤なるものがあること自体がおかしいです。
ていうか、二世三世議員が多すぎますよ。
別に父親が議員だから、子どもは議員なってはいけないという話ではありません。
ただ父親の地盤を継いでしまえば、それは他の候補者よりも有利になるに決まっています。
果たしてその状態が民主主義かといわれるとかなり疑問なんですよね。
これは、イギリスのように二世三世は、父親とは違う選挙区で出なければいけないという制度を作るべきですね。
比例代表制に、世襲、それにあとは定年制ですね。
ちょっと今の選挙システムは、既得権益を持った人間に有利に働きすぎています。
力を持った人間が、その力を維持するために格好のシステムになっているんですよね。
これでは世の中はなかなか変わりませんし、資質の怪しい政治家が量産されてしまうのも無理はありません。
ここに挙げた話は、どれも世の中的におかしいと多くの国民が思っていることだと思うので、政治家のみなさんは、まず自分たちの襟元を正す意味でも、こうしたところからちゃんと改革をしていってほしいですね。