文在寅と安倍晋三 その相違点

日本がついに韓国をホワイト国から除外いたしました。
当然、韓国は猛反発をし、日本の世論はおおむね今回の閣議決定に賛成のようです。

しかし、何とまあ、ナショナリズムというのはこうやって燃え上がるんですね。ここ数カ月の動向をずっとウォッチしていましたが、正直今はちょっと怖い気がします。

最初に言っておきますが、個人的には、別に韓国に肩入れをしようと思っているわけではありません。ただ両国の国民が双方の政府に煽られた結果、もはや相手に対する侮蔑と敵意を隠せなくなっているという状況が怖いです。
ここまでくると、もう相手のことなんか考えずに、振り切って叩き合いますからね。そうすると、もう後戻りは出来ません。国民同士は憎み合っている訳でもないのに、どんどんと感情だけがエスカレートして、最悪、殺し合いにすらなってしまいます。

今回の発端は、わたし個人としては明らかに韓国の文在寅大統領の政治家としての資質にあると思っています。
何か、活動家が政治家になり、さらにトップになると国はこんなにもおかしくなってしまうのだということをまざまざと見せつけられている感があります。
この人の問題は、まず自分の考えが一番正しいのだと思い込んでいて、それにそぐわないことは一切受け入れないこと。それに、南北統一という自らの念願を叶えるためには、他の何がおかしくなっても厭わないと考えている点です。
だから、一切、妥協しない。そもそもそうやってのし上がって、似たような人たちが支持者だから、妥協が出来ない。
徴用工の問題だって、本当に解決をしようとする、つまりは徴用工の人たちに一刻も早く補償を与えるには、ある程度の妥協も必要なのに、一番解決するはずのない道を自らの信念のために獲っている。このへんからも、本当に元徴用工の人たちのことを考えているのではなく、いかに自分の正義に囚われているのかがわかってしまうんですよね。
ようするに政治家としてのバランス感覚がまるでないんです。

わたしは思うのですが、政治家とは、自分の野望を叶えるのが政治家ではないと思うんです。あくまで、自分が泥水を被ってでも、国民のことをまず思い、国民が利するように、そしてときにはいがみ合う人たち(対外的なことも含めて)をいかに話し合いで、みなが仲良くできるようにまとめることこそが本物の政治家だと思うのです。ていうか、そもそも自らの悲願を達成するために、ほかのものをなおざりにしたりすること自体がありえないんですよね。

この点では、韓国の文在寅大統領も日本の安倍晋三首相もちょっと似ています。安倍首相も、憲法改正を達成するためには、なりふり構わない感じですからね。
まあ、ようするに、二人とも自分の意見を押し通すためには、絶対に譲らない。だから、立場が同等か弱いものに対しては、100か0かの議論しかしない。お互いがそうだから、何も進展しない。
徴用工の問題については、おそらく落としどころとして考えられるのは、韓国政府+日韓の企業での補償、つまりはワン+ツーと呼ばれる形で基金を作る、というところなのでしょうが、双方がまったく歩み寄りを見せないんですよね。
それで、結局は、相手が悪いと煽ることに自らの支持を得ることに躍起になり、問題が先送りにばかりになっていく。

結果的に、民間レベルでの対立を後戻りできない所にまでとことん作り上げて。

ただ文大統領と安倍首相の二人には大きな違いもあります。それは文大統領がどこまでも独善的であるに対して、安倍首相は自分のワルい部分もたぶんにわかっているところです。だから、安倍さんは国力の差をわかったうえで、粛々と手を打っていく。おそらくアメリカともある程度話はついているのでしょう。アメリカも、文大統領には早く失脚してほしいと考えているでしょうからね。ようするに、腹黒さでは良くも悪くも安倍さんの方が一枚も二枚も上手なんですよね。安倍さんの方が、政治家なんです。活動家上がりの文氏と世襲で政治家となった安倍さんとの違いと言えば、違いでしょうか。まあ、逆に言えば、安倍首相のそういう部分をも受け入れられないからこそ、あれほどまで文大統領も感情的になっているのでしょう。

たぶん、文大統領と安倍首相の双方がトップである限りは、両国の関係は元に戻ることはないと思います。
その間に、両国の、特に韓国の経済はガタガタになる可能性があります。
それでも、文大統領は妥協をすることなどせず、経済停滞の原因をすべて日本のせいにし続けるでしょう。
彼にとっては、政権を維持するには、反日を煽り続けるしかもはや手はありませんからね。
まあ、もともと共産思想が強く、北中心に南北統一を考えている大統領であるので、経済がおかしくなろうが、統一さえできればいいと文氏は考えているのかもしれません。それに付き合わされ、感情だけを煽られ続けている韓国国民はちょっと可哀想ですね。

怖いのは、日本が韓国の金融の信用を外したときです。
そうなれば、本当に韓国の経済はとんでもなく危機に陥ります。
そうなると、もはや民間レベルでも、日本人と韓国人は相いれないものになってしまうでしょう。

これ以上、滅茶苦茶になる前に、何とかならないものかと思うのですが、ね。