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弦巻 星之介

「あなたの人生の物語」 著 テッド・チャン

「あなたの人生の物語」  著 テッド・チャン 中短編の名手と謳われるテッド・チャンさんの短編集ですね。 寡作ではあるものの、そのすべての作品においてレベルが高く、ほとんどの作品がネビュラ賞やヒューゴー賞の受賞もしくは候補作となっているだけあって、確かにハズレが一つもないです。 典型的な理系の人の文章なので、人によっては読みにくさを感じる人がいるかもしれませんが、その分充分な科学的知識に基づいて話が […]

「世界にひとつのプレイブック」

「世界にひとつのプレイブック」 2013年/アメリカ なかなか考えさせる映画でした。 妻の浮気を目撃し、浮気相手をボコボコにして精神病院に入れられていたパットが退院して家に戻ることから話は始まります。 接近禁止命令が裁判所から出ているにもかかわらず、妻であるニッキとの復縁を信じてやまず、問題行動を起こすパットを見て、映画を観た人の多くはおそらくウンザリすると思います。 大多数が、もしもこんな人が家 […]

オリラジ中田さんの「良い夫をやめる」に思う、夫と妻が一緒に家事育児をするために一番大事なことつ

中田敦彦 方針変更!「良い夫」やめました夫の平均化を目指すことがその家族にとってベストパフォーマンスなのか? 「離婚してもいい」という立ち位置で夫婦関係を見直し中 オリラジ中田敦彦「妻と別れていい。親権は渡していい」に東大卒ママが怒りをあらわにする理由 オリエンタルラジオの中田敦彦さんの記事が物議を醸しだしています。 タレントの福田萌さんと結婚した中田さんは、活躍の場をテレビからYouTubeなど […]

「闘将!!拉麵男」 著 ゆでたまご

「闘将!!拉麵男」 著 ゆでたまご 80年代に一斉を風靡した「キン肉マン」の絶頂期に描かれたスピンオフ作品ですね。 「キン肉マン」に出てくる人気超人、ラーメンマンの若かりし頃の活躍を描いた作品です。 「キン肉マン」が集英社の総本山である少年ジャンプで毎週連載されていたのに対し、本作はフレッシュジャンプという月刊紙で掲載されていました。 子どもの頃、この作品読みたさにフレッシュジャンプを買っていた記 […]

冬季北京オリンピックの開会式における反応を見てモヤモヤしたこと。

冬季北京オリンピックが始まりましたね。 スポーツ自体は好きなので、楽しみではあるのですが、開会式後に予想通りに、東京オリンピックの開会式と比べる声が目立ち、そのほとんどが北京オリンピックの開会式を褒めたたえる一方で、東京オリンピックの開会式を蔑むものであったことには、ちょっと残念な気持ちになりました。 そもそもオリンピックの開会式は、スポーツ大会におけるフェアな闘いを宣言する場に過ぎないはずなので […]

「AI監獄ウイグル」 著 ジェフリー・ケイン

「AI監獄ウイグル」 著 ジェフリー・ケイン 新疆ウイグル自治区が中国によってAI監視され、何万にもの人々が強制収容所に入れられたり、強制労働をされているというのは、もはや国際的に周知の事実となっていますが、この本はなぜこのようなことになってしまったのか、どういうプロセスでそうなったのかを何百人もの証言を元に詳細に追った本です。 おおよその話はニュースなどで知っていましたが、こうして詳しい話を読む […]

「タッチ」 著 あだち充

「タッチ」 著 あだち充 80年代を代表する名作漫画ですね。 あだち充さんの漫画にはハズレがありませんが、その中でもダントツに面白く、売れたのがこの作品です。 同年代に生きた人は、誰もが「タッチ」という名前だけでなく「上杉達也」や「浅倉南」といった名前を聞いたことがあるかと思います。 さて、そんなあまりに有名な本作ですが、残念ながら多少誤解して記憶している人が多いようです。 多くの人がこの物語に典 […]

ふじみ野の立てこもり事件に、「自暴自棄の人」をどうすればいいのかを考える。

立てこもり男、自殺考え「先生を殺そうと思った」…事前に散弾銃や催涙スプレー用意 埼玉県のふじみ野市の立てこもり事件、何だか聞いてとても辛い気持ちになりました。 亡くなられた鈴木医師に、ご冥福をお祈りいたします。 訪問介護に情熱を燃やす、地域医療の要だったという報道がありますが、本当に社会にとってとても重要な人だったんだなと思います。 こういう方の損失って、本当に大きいんですよね。 この方がいなくな […]

ドイツと比べてわかる日本の教育の良い点、悪い点

ドイツの大学受験に“一発逆転”はない!? 始まりは小4 教育制度の土台にある考えとは よく日本の教育との違いとして名前が出されることの多いドイツの教育の話ですね。 この国の教育で特徴的なのは、9歳とか10際の段階で人生の大まかな選択をしなければならないという点です。 つまり、大学に行って勉強したい人、技術者になりたい人、公務員になりたい人と学校が分かれていて、その年齢の時点でそれをきめなくちゃいけ […]

「銃」 著 中村文則

「銃」  著 中村文則 中村文則さんのデビュー作ですね。ザ・純文学という感じの作品です。 銃を拾った男が変わっていく様、もしくは元々あった自分の黒い部分に染まっていく様を描いているのですが、その心的描写が濃厚で迫ってきます。 物語としては、施設に育ち養父母に育てられたものの、それなりに普通に成長してきた大学生が銃を拾うことで始まります。 そして、主人公が銃に魅せられ、銃によって支配されていくという […]