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文化

「中国史とつなげて学ぶ全日本史」 著 岡本隆司

「中国史とつなげて学ぶ全日本史」  著 岡本隆司 これは非常にためになる本でした。 東洋史の先生によって書かれた著作なんですけれど、東洋史の概念から日本と中国の関係をクローズアップして考えています。 そもそも東洋史そのものが中国との関わりの歴史を学ぶ学問なのですが、確かに日本中心の歴史や西洋中心の世界史よりも、日本と中国の関係を考える上では、東洋史の概念に沿って考えた方が、ずっと正確にその関係性を […]

「ザ・ファブル」 著 南勝久

「ザ・ファブル」  著 南勝久 非常に面白い漫画でした。 個人的に普段あまりヤンキーとかヤクザなど裏社会の人が活躍する話は好きじゃないのですが、これは一気に読むことが出来ました。 まず何よりも設定が面白いです。 暗殺者として絶対的なスキルを持つ主人公が、時代の変化とともに用無しとなり、普通の日常生活を送るように命じられる。 それが出来れば、そのまま一般人となり、出来なければ組織に処分されるという話 […]

NHKスペシャル「新・ドキュメント太平洋戦争1941第1回開戦」を観て考えたこと。

二夜連続で放送されたNHKスペシャル「新・ドキュメント太平洋戦争1941第1回開戦」を観ました。 その時代に生きた様々な人が遺した日記や手紙をAI解析によってエゴリサーチすることで、民衆の心情がどうやって戦争に向けて変わっていったのかという話を複眼的に迫る番組でしたが、非常に興味深かったです。 日米開戦の一年くらい前までは徐々に物資は減ってきているものの、割と普通の暮らしをしており、アメリカ文化な […]

「ザ・ファブル」

「ザ・ファブル」 2019年/日本 人気漫画が原作の映画ですね。 わたしも原作を読みましたが、非常に面白い漫画でした。 面白い漫画だけに、映画化はある程度興行収入的には期待できるものの、内容的には、どうしてもハードルが高くなってしまいますね。 映画を観てまず思ったのは、基本的に漫画のストーリーを壊さずに追ったんだなということ。 ラストの砂川らの一味と小島との対決場面への持って行き方が異なっていまし […]

「消滅世界」 著 村田沙耶香

「消滅世界」 著 村田沙耶香 「コンビニ人間」で芥川賞を獲った村田沙耶香さんの作品ですね。 正直、評価するのがとても難しい独特な作品だと思いました。 まず一言でいえば、ジャンルが分からない。 一見、SFのように見えるのですけれど、書いてある内容や文体は純文学のそれであって、読み手を良くも悪くも戸惑わせます。 まあ、こうした境界線のなさが著者の個性であるといえば、その通りで、そういう意味では、この著 […]

「機動戦士ガンダムNT」

「機動戦士ガンダムNT」 2018年/日本 「逆襲のシャア」から「UC」に続く流れに沿った話ですね。 「UC」の物語を作った作家の福井晴敏さんが「UC」の外伝的に書いた小説を映像化したものです。 NTとはナラティブの略語であり、物語とニュータイプのダブルミーニングだそうです。 つまり、「逆襲のシャア」で登場したサイコフレームにまつわる話の続きであり、サイコフレームはパイロットの力をモビルスーツに直 […]

「王国」 著 中村文則

「掏摸」の姉妹編ですね。 「掏摸」で絶対悪として登場した木崎に対して、作者がどう決着をつけるのかが気になって読んでみました。 一読して感じたのは、「掏摸」で感じた悪に対する作者の嫌悪感が、悪に対してだけでなく、悪をシステムとして組み込むことを止めない社会そのものに対してのものなんだということがハッキリとわかったということ。 読む前に、勝手にこの作品は絶対悪である木崎の綻びを見つけ出し、そこに希望が […]

「掏摸」 著 中村文則

「掏摸」 著 中村文則 押し潰されるような、どうしょうもなく暗い、暗い世界。 スリと彼が巻き込まれる裏社会の深部の一端を描いたこの作品は、現実の暗部を文学に昇華させて描くことを特徴とする中村文則さんらしさがよく出ている作品だと思います。 重厚な文章でありながらも、どんどんと読者を物語に引き込むのは、中村さんの力量にほかなりませんね。 そして、芥川賞を獲った「土の中の子供」あたりのころは、世の中の不 […]

「零號琴」 著 飛浩隆

「零號琴」  著 飛浩隆 現在の日本SF界のトップランナーである飛浩隆さんの長編ですね。 寡作ながらも本を出すたびに批評家すらも驚かせる飛さんの作品ですが、いやあ、今回も驚かされました。 飛さんの作品は、細かい理系用語が飛び交うわけでもなく、また現在社会の諸問題を露骨にテーマにしているわけでもなく、その代わりに圧倒的な想像力があるんですよね。 しかも本作は、その飛さんが飛さんたることを証明している […]

鉛筆画:ギギ・アンダルシア

映画「閃光のハサウェイ」のヒロイン、ギギ・アンダルシアです。 この物語を小説で読んだのが三十年以上前……。 まさか大人になってから映像として観ることになるとは当時想像すらしていませんでした。 当時は小説で読む限りは小悪魔的な印象が強かったのですが、映像で見てみると、小悪魔と言うよりは繊細な子という印象を受けました。 これは視覚的に見ることによってそういうふうに思ったのか、それともわたしが大人になっ […]