https://toyokeizai.net/articles/-/272177
日本社会の現状を、というか、人間というものの本質を見抜いている記事だと思います。平たく言えば、「自分だけが割を食っている」という考え方が組織も、そしてその人自身をもダメにするという話ですが、まったくその通りですね。
人が人である以上、どんな場所でどんな仕事をしていても、自分が主体である以上、物事のすべてを自分を中心に見てしまいます。どんなに周りのことをよく見て、周りのために行動していても、その事実からは逃れることは出来ません。
どんなに自分は違うと思っていても、心のどこかで「どうして自分だけが?」とか「自分だけがなぜ大変な思いを?」とほとんどすべての人が思っていることでしょう。
そして、そうした心の中の不満が大きくなり、理性で抑え切れなくなればなるほど、その人と周りの人たちとの関係性はおかしくなり、さらに誰もそこに仲介に入らなければ、その人の属する組織は何らかの面で破綻をするでしょう。
この「自分だけが割を食っている」という考えは本当にやっかいです。実際は、たいていの場合、周りの人々の身になって考えてみると、それぞれがそれぞれの役割の中でそれなりに割を食っているのですが、一部あからさまに楽をしている人がいたり、感情のもつれあいや、先入観などに囚われていたりしてしまっていると、どんどんとこの考えに毒されていくんですよね。
この病ともいうべき感情に対する対処法は、いかに自分を客観視出来るかによります。もっといえば、自分だけがどうにかするというわけではなく、周りの人々とある程度本音ともいうべき意見を交わし合い、お互いがどれだけの仕事をしているのかとか、何に困っているのとか、そういったことを話し合って解決していくしかないでしょう。
経営者側としては、誰かに過度に負担がいかないように目を配ることと、人に対する評価の基準を明らかにして公平性を保つことが大事です。よく気に入った人を贔屓するような上司がいますが、そういう管理体制が当たり前となっている状態は言語道断です。
家庭内のことに関しては、話はもっと難しくなるかもしれません。どうしてもたいていの場合は、夫婦で話し合って解決の道を探るしかありませんからね。
しかもそこに社会的なバイアスが加わったりしているので、とてもやっかいです。
でも、とにかくは話し合う以外に道はなく、そこをさぼると、「自分だけが割を食っている」感を胸の中にしまって蓄積し続けることになり、そのうちに会話すらままならないどうしょうもない事態を招いてしまいます。
本当に、何度も言いますが、腹を割って話し合う以外に問題解決の手段はないんですよね。
まあ、それこそが人が人であるための所以であり、人が幸福に暮らすための使命であるのかもしれませんが。